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ECコラム

ネットショップに興味はあるけど何から取り組めば良いか分からない方、ネットショップで販路拡大を考えている方向けにECに関するノウハウや最新情報を発信していきます。

D2Cの事業モデルとは?

2021/09/07 最終更新日・2021/09/07
※最終更新日時点の記事です
消費者との距離が近いブランド

 昨今、EC市場で注目を集めるキーワードのひとつにD2Cがあります。D2Cは「Direct to Consumer」の略で、人によって定義が異なることもありますが、多くの場合、自社で企画・製造した商品を通販サイトなどの自社チャネルで消費者に直接販売するビジネスモデルのことを指します。従来、メーカーなどが商品を販売する場合、問屋や小売業者などに商品を卸すのが一般的な流通の形でしたが、インターネットの普及に伴ってSNSを通じた情報発信や通販サイトを介した販売が一般的になったことで、D2Cのビジネスモデルがメーカーや個人事業主の間でも注目されています。

 中間業者を通さないことで企業の思いやビジョンなどを直接消費者に伝えることができるほか、ECモールも含めて他社の売り場に頼らないことで、より細かな顧客データを収集できるため、新商品の開発に顧客情報を生かしやすいと言われています。

 株式会社ユニクロなどに代表されるSPA(製造小売業)も企画から製造、販売を一貫して自社で行う業態ですが、SPAが実店舗を中心に展開しているのに対し、D2Cは自社運営の通販サイトを軸にしています。また、オンライン上で直接顧客と接する双方向のコミュニケーションを重視し、顧客データをビジネスのあらゆる面に生かしているのも特徴で、D2Cの中に「コンシューマー(消費者)」という言葉が入っていることからも、“消費者ともっとも距離の近い業態”と言えるかもしれません。


2025年に3兆円の市場に

 D2Cの国内市場規模を表す数値としては、ネット広告コンサルティング会社の株式会社売れるネット広告社が2020年9月にD2Cを“ネットメディアを通じて自社ブランドの商品を消費者に直接に販売する事業”と定義した上で、2019年の市場規模を2兆300億円と推計し、2025年までに3兆円に達すると予想しています(※図表参照)。

 D2C事業を手がける企業が増えている背景としては、「shopify(ショッピファイ)」や「BASE(ベイス)」といった低コストで自社運営の通販サイトを簡単に開設、運営できるサービスが増えたことがあります。以前は運営費用さえ支払えば「Amazon(アマゾン)」などのECモールが販売や物流などを代行してくれるという図式ができ上っていましたが、それでは顧客データは獲得できませんし、自社のブランドを伝えづらいため、簡単に開設、運営できるサービスを活用して通販サイトを運営する企業が増えています。

 また、D2Cビジネスが増えている理由として、資金調達がしやすくなっている点も挙げられます。昨今は海外だけでなく、日本でも“スタートアップバブル”と表現されることもありますが、革新的なアイデアやテクノロジーなどをベースにして短期間で事業成長を狙うスタートアップ企業に投資が集まりやすいと言われています。さらには、以前と比べて商品を作ること自体も容易になっています。例えば、アパレル商材であれば衣類生産プラットフォーム「シタテル」などが登場し、アパレルの専門的な知識や工場とのパイプがなくても、小ロットから商品を作ってくれるサービスが出てきていて、個人事業主でもアイデアさえあれば自分が企画した商品を形にすることができるようになったこともD2C市場の拡大を下支えしています。


実店舗のニーズも高まる

 自社ECを軸に商品を販売するD2Cブランドですが、最近はブランドの体験の場として実店舗を活用する事例が増えています。ECチャネルは1万円を超えると購入のハードルがより高くなると言われていて、その障壁をなくすためにも実際に商品を確認できたり、試着できたりする場として、また、顧客とのつながりをさらに深めるためにも実店舗やショールームを利用するD2Cブランドが増えていると見られます。

 米国ではD2Cブランドを集めた売り場を展開する「ショーフィールズ」や「ネイバーフッド・グッズ」といった小売りが注目を集めていますが、日本でも同様の動きが出てきています。株式会社丸井は2018年から「BASE」を利用してネットショップを開設している事業者を対象にした常設のレンタルスペースを渋谷マルイに設けていますが(※2021年6月24日に渋谷モディに移転)、2021年6月1日には新宿マルイにもコスメや雑貨、食品などのD2Cブランドが出店する売り場を開設しています。また、PR会社の株式会社ベクトルの子会社である株式会社スマートメディアも2021年4月1日に渋谷パルコと協業して、渋谷のスペイン坂にD2Cブランドが出店できる体験スペースをオープンしていて、一定期間ごとにさまざまなテーマに沿ったD2Cブランドを誘致して消費者との接点作りをサポートしています。


成功するD2Cの特徴は?

 さまざまなD2Cブランドが立ち上がっていますが、成功企業としては例えば、オーダーメードスーツなどを展開するブランド「FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)」はショールーム型の実店舗と自社ECを連携させて成功した企業として知られています。店舗の主な役割は採寸で、利用者は一度店頭で採寸してもらえば、いつでも同ブランドの通販サイトで好きな生地を選んでオーダースーツやシャツなどを購入できます。中間業者を介さずに提携工場と直接取引することで税込3万9800円からという手ごろな価格でオーダーメードのスーツを提供できる体制を整え、注文はスマートフォンから簡単にできるようにしたことで、2014年のサービス開始から5年後の2019年には年商が10億円に達したようです。

 また、身長155㎝以下の女性アパレルD2Cブランドの「COHINA(コヒナ)」は、顧客接点の場としてインスタグラムを活用しています。とくに消費者の声を商品企画に生かす目的で始めたインスタグラムのライブ配信を重視していて、2021年5月10日にはライブ配信が連続700日を記録しました。コロナ禍でも毎日配信してきたこともあって、公式インスタグラムのフォロワー数は2021年8月中旬時点で20万人を超えています。「COHINA」では現在、月間20~30点の新商品を投入していて、ライブ配信を視聴したら必ず新しい服があるという頻度で新作を発売することで、商品面でも既存顧客が飽きずに視聴できるように努力しています。顧客とのコミュニケーションを大事にすることで、小柄女性というニッチ市場に特化しているにもかかわらず、2018年1月の事業開始から3年で月商1億円規模に成長していると言います。

 食品分野では、月額定額制で自分に合った野菜がスープやスムージーになって自宅に届くパーソナルフードサービス「GREEN SPOON(グリーンスプーン)」がコロナ禍で成長しています。SNSに投稿したくなるような商品パッケージも受けていて、利用者の80%以上が、女性と言います。月額制サービスのため、飽きずに継続利用してもらうことを重視していて、商品バリエーションの豊富さと、期間限定商品も展開することで楽しく続けられるようにしています。コロナ禍で消費者の健康志向が高まっていることも追い風になっているようで、2020年2月の事業開始から1年5カ月(2021年7月末時点)で累計販売数が50万個に達していて、一定の成果を得ています。

  昨今はさまざまなD2Cブランドが立ち上がっていますが、成功しているD2Cブランドに共通するのは、絶対的なトップ企業がいない市場を主戦場としていたり、大手企業がいても新しいテクノロジーやアイデアで新たな客層を開拓していたりする点が挙げられます。また、SNSを情報発信の場としてだけでなく、顧客とのコミュニケーションをとる場として積極的に活用していることや、自社チャネルで得た顧客情報を商品開発に生かして商品に自信とこだわりを持っている企業が多いと感じます。

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