ECコラム
ネットショップに興味はあるけど何から取り組めば良いか分からない方、ネットショップで販路拡大を考えている方向けにECに関するノウハウや最新情報を発信していきます。
越境ECの運用改善
2023/07/12 最終更新日・2024/03/26
越境ECの運用改善は、利益率や作業効率のほか、顧客満足度の向上にもつながっていきます。今回は、物流の視点を中心に「注文前」「注文処理」「アフターケア」の3つの場面に分けてEC業務の運用改善のポイントをお話していこうと思います。日常の些細な問題への気づきが運用改善のきっかけになります。この気づきを得るためにも日常業務に関わるスタッフとのコミュニケーションが大切です。併せて、効果的に改善サイクルをまわしていく方法として、組織作りについても少し触れたいと思います。
1. 注文前の運用改善
注文前の運用改善は、分かりやすいECサイト作りを中心に進めます。
ECサイトは実店舗における商品陳列と接客機能を担うものだと意識しましょう。ECサイトでは店員を配置しているわけではないので、サイトの使いやすさと信頼性を考えなければなりません。特に越境ECでは、 海外から取り寄せるという特別感やワクワク感が大きい反面、「思い通りの商品だろうか」「きちんと送られてくるのだろうか」といった不安感も大きいものです。商品の魅力を伝えるというマーケティングの視点のみならず、安心して注文できる物流の視点も盛り込むことが大切です。
具体的には図1のようなポイントを意識してみましょう。
図1 注文前の運用改善のポイント
1. 注文前の運用改善
注文前の運用改善は、分かりやすいECサイト作りを中心に進めます。
ECサイトは実店舗における商品陳列と接客機能を担うものだと意識しましょう。ECサイトでは店員を配置しているわけではないので、サイトの使いやすさと信頼性を考えなければなりません。特に越境ECでは、 海外から取り寄せるという特別感やワクワク感が大きい反面、「思い通りの商品だろうか」「きちんと送られてくるのだろうか」といった不安感も大きいものです。商品の魅力を伝えるというマーケティングの視点のみならず、安心して注文できる物流の視点も盛り込むことが大切です。
具体的には図1のようなポイントを意識してみましょう。
図1 注文前の運用改善のポイント
ECサイトの見直しは、サイトを訪問してくれた顧客の離脱を防ぐほか、事後の返品やクレーム、悪評価を減らすことへも直結していきます。カスタマーサービスの一環であるという視点を忘れずに制作しましょう。
2. 注文処理の運用改善
注文処理の運用改善は、「スピード」と「正確性」、「丁寧さ」にこだわって進めましょう。発送作業を含む注文処理では、実は、基本的な事務処理の手順が整っているのであれば、緊急対応を発生させなければ必要以上に時間を取られることはありません。ところが、いったん緊急対応が発生すると、イレギュラーな仕事が増えて日常業務のペースが乱されてしまうこともしばしばです。
緊急対応は運用の不完全さに起因するケースがほとんどです。商品の取り間違い、想定外の欠品、不完全な梱包によるキズや破損、発送遅延に対するクレーム対応などです。特に越境ECでは国際輸送や税関も入るため、対応に時間がかかる場合もあります。注文処理の仕事は先延ばしが出来ません 。注文処理の運用は、「スピード」、「正確性」、「丁寧さ」が担保できているかどうかを検証して丁寧に作っていきます。
具体的には図2のようなポイントを意識してみましょう。
図2 注文処理の運用改善のポイント
事業者によっては、EC担当者がコンテンツの準備やマーケティング、物流まですべてを担っていることも少なくないでしょう。注文処理や発送などの物流プロセスは、いったん運用をマニュア化すればルーチン化しやすい仕事が多く、効率化によって時間を生みやすい特徴があります。ここの運用改善によって、EC担当者の時間を別の仕事に振り向けることも可能になることでしょう。
3.アフターケアの運用改善
アフターケアの運用改善は、顧客対応の品質にこだわって進めていきましょう。
特にクレームの場面での対応は、お客様の心象を大きく左右します。忘れてはならないのは、「注文前の運用改善」のところでもお話したように、 越境ECでは、海外から取り寄せるという特別感、ワクワク感が大きいという ことです。クレームに至ってしまったということは、そのようなお客様の気持ちを裏切ってしまったのかもしれません。お客様の気持ちに寄り添うことを第一に考えてみましょう。
越境ECでは返品にかかる負担が大きく、お客様に返品をさせずに返金や再配達を行った方がかえってコストがかからない場合も多くあります。返品時にかかる税関対応も煩雑です。クレームが炎上に発展してしまうと、想定以上のコストや手間が発生してしまいます。クレームを減らせるように「注文前」「注文処理」の運用改善を強化していくと同時に、いざ、クレームが発生した際の適切な運用ルールと再発防止のプロセスを決めておきましょう。
再発防止には具体的には図3のようなポイントを意識してみましょう。
図3 注文処理の運用改善のポイント
図4 EC運営の改善サイクル
外資系スポーツメーカーで物流・購買に従事後、EC業界に転向。
中国向け越境ECスタートアップ企業等に勤務後、独立。
商品登録から発注・配送の仕組みづくり、物流センターの運営構築や
従業員教育、越境ECの売上分析や在庫マネジメントを得意とする。
クレームに限らず、お客様から納品後に来た問合せの対応により、レビューに記載される内容やそのお客様自身からのリピートオーダーにも影響するでしょう。越境ECでは海外からの取り寄せという事情もあり、サイト訪問者もレビューをよく見ています(別掲:越境ECの売り上げを伸ばすポイントとは?)。発送後のアフターケアは、新しい注文につながってくるものと考えて、しっかり対策していきましょう。
4. 定期的に運営を振り返る
ここまで読んでいただいた皆様はお気づきかもしれませんが「注文前」「注文処理」「アフターケア」の運用改善のポイントには、図4のように相互に関連があり、実は切り離すことが出来ません。
図4 EC運営の改善サイクル
効果的に改善サイクルをまわせるよう、定期的にスタッフ全員で集まり、意見交換をしてみましょう。現場スタッフならではの視点を盛り込み、事業所内の作業ルールを改善しましょう。販売数などの数字を使って現状を見せると、意見の呼び水になることがあります。最初は、販売点数ランキングといった数字を見せ、特に上位と下位の商品群について、意識をしてもらうと良いでしょう。
改善の方法には正解はないことを念頭に置き、どんな意見にも耳を傾けることが大切です。スタッフが委縮せず、積極的に発言できる雰囲気作りを心掛けることで、スタッフのモチベーションが向上し、もっと良いアイデアも出やすくなります。
また、越境ECでは、国やターゲットによって売れ筋商品のランキングや傾向が違っていたり、全体的な売れ行きの好不調が明確に分かれたりする場合があります。クレームやキャンセルの発生頻度が異なることもあると思います。これは消費文化の違いも関係しているでしょう。越境ECならではの視点をスタッフと共有する機会を作って、より活発な運営改善が実践される場を作っていきましょう。
中小機構 中小企業アドバイザー(新市場開拓)
半 田 泰 代
半 田 泰 代
外資系スポーツメーカーで物流・購買に従事後、EC業界に転向。
中国向け越境ECスタートアップ企業等に勤務後、独立。
商品登録から発注・配送の仕組みづくり、物流センターの運営構築や
従業員教育、越境ECの売上分析や在庫マネジメントを得意とする。