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ECコラム

ネットショップに興味はあるけど何から取り組めば良いか分からない方、ネットショップで販路拡大を考えている方向けにECに関するノウハウや最新情報を発信していきます。

厳格な法執行が進む景品表示法の留意点

2022/02/10 最終更新日・2022/08/12
※最終更新日時点の記事です
消費者保護を目的に執行の厳格化が進む景品表示法

 ECを含む通信販売は、対面取引ではなく、商品ページの記載を通じて消費者とコミュニケーションをとることになります。その表示に虚偽・誇大な内容や、誤認を生む表現が含まれていると消費者の適切な商品選択を妨げる行為とみなされ、景品表示法(景表法)により規制されます。消費者保護を目的に厳正な法執行、厳罰化が進む景表法の近年の傾向をみていきたいと思います。


不当表示規制に課徴金制度を導入

 景表法は、商品・サービスの品質や内容、価格について虚偽・誇大な不当表示、商品とともに提供される景品類の表示を規制しています。このうち、「景品規制」は、商品・サービスの購入に際して提供される懸賞や景品を規制しています(値引きやアフターサービスを除く)。EC事業者がとくに気をつけたいのは、購入者にもれなく提供する「総付景品」と呼ばれるものです。例えば、競合他社との差別化のため、化粧品の購入者にポーチやコンパクトミラーを提供するといった施策がこれにあたります。取引額が「税込1,000円未満」の場合、景品の最高額は「200円」、「同1,000円以上」の場合は取引額の10分の2までと決められています。一方「不当表示規制」は、事業者が販売する商品・サービスに消費者を誘引するための手段として、チラシやパンフレット、テレビCM、ウェブサイトなどに自己の供給する商品・サービスの内容や取引条件などについて説明・表示する際に、不当に顧客を誘引し、消費者が自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる事実とは異なる表示を行うことを規制しています。不当表示には効果や性能について実際より著しく優良であると示す「優良誤認」、取引条件について実際より著しく有利であると示す「有利誤認」があります。また、誤認が生じやすい分野について告示で指定できるとされており、現在、「無果汁の清涼飲料水等についての表示」、「商品の原産国に関する不当な表示」、商品の販売量が限定されていたり、用意されていなかったりするにもかかわらず集客などの目的に行う「おとり広告に関する表示」など6件の分野が規制されています。


景品規制と不当表示規制の概要

 
 不当表示を行った事業者に対しては、表示の是正や不当表示を行ったことについての消費者への周知、再発防止策の策定などの措置を命じることができます。命令に従わない場合、企業の代表者などは2年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人には3億円以下の罰金が科せられます。

 課徴金制度とは、「優良誤認」「有利誤認」を対象に、不当表示を行った期間に加えて、不当表示をやめてから半年が経過、または不当表示を行った旨を社告として全国紙などに掲載し周知させるまで期間(3年が上限)の対象商品の売上額の3%を「課徴金」として納めることを命じるものです。事業者の規模の大小が問わず、課徴金の調査・命令は行われます。


監視強化が進む「打消し表示」と強調表示のバランス

 通販・ECを行う事業者にとって不当表示と判断されないために、注意すべき点が「打消し表示」です。「打消し表示」とは、品質やサービスについて商品ページで強調する際、消費者の誤認を防ぐために強調した内容の例外条件などを示したものです。例えば、健康食品の機能や化粧品の効果実感に言及した体験談などの表示とともに、「個人の感想であり、効果を保証するものではありません」などと記載される文言が該当します。

 ただ、「打消し表示」を行っているのをよいことに、商品の性能や効果、取引条件について過度に誇張した表現を行う事業者が増えており、消費者庁は、こうした「打消し表示」の取締りも強化しています。強調表示と打消し表示の文字の大きさの違いやバランス、配置箇所、背景色との区別から見えにくく認識しづらいものである場合について、景表法違反となる可能性があります(出典①)。例えばスマートフォンの広告である場合、アコーディオンパネルのクリック後に表示される打消し表示は見落としがちな傾向があることや強調表示とコンバージョンボタンが同一画面に表示され、打消し表示が離れた箇所に配置されていることで気づかない傾向があります。動画広告でも「打消し表示」と「強調表示」、「画像」、「音声」など複数の情報が同一画面に混在すると情報量が多く、誤認の可能性が高くなります。


消費者が認識しづらい打消し表示の例




強調表示と打消し表示、コンバージョンボタンの配置バランスに関する留意点の例

ECサイト内や広告などで記載する際には、「打消し表示」をきちんと消費者が認識できるような表示となっているかを確認する必要があります。


アフィリエイト広告など第三者が作成した表示の監視も強化へ

 また、消費者庁は「アフィリエイト広告」に関する規制も検討しています。アフィリエイト広告は、アフィリエイターと呼ばれる第三者の個人・法人が広告主に変わり、商品の広告を行うものです。第三者が投稿したような内容の広告という信頼感を背景に、通販・ECにおいても商品PRの有効な施策として利用が増加していました。消費者庁が行った実態調査によると、1万1000の広告主がアフィリエイト広告を利用し、ウェブ上には約600万サイトのアフィリエイト広告があるとされます(出典②)。一方、最近では法律知識の乏しいアフィリエイターが虚偽・誇大な広告を行うケース、虚偽・誇大な内容でありながら、第三者が制作したことを理由に表示責任を逃れ、確信犯的に広告を運用する広告主が増えるなど、不適切な表示が氾濫する問題が顕在化していました。

 2022年1月にまとめられたアフィリエイト広告に関する報告書では、アフィリエイト広告など広告の作成・運用を外部に委託する場合の管理義務も一層強化する方針などが示されています。EC事業者は、アフィリエイターに広告を依頼する際に、法令遵守などのレギュレーションを提示し誤認を生まない表示に努めるとともに、表示内容を定期的に確認し、不適切な表示の排除、契約解除などで適正化を図る対応が必要になります。


自社運用の商品ページだけでなく、外部委託の広告も適切な表示に努めるべき

 ウェブのインフラ整備が進んだことでECに参入する事業者が増え、また、EC通じて商品を購入する消費者が増え市場が拡大しています。一方で、商品ページに関する当局の監視は年々厳しさを増しています。ECの展開は、自社で運用する商品ページにおいて消費者に分かりやすく、誤認を招かない表示に努めるだけでなく、アフィリエイターやインフルエンサーを活用したプロモーションなど、外部に委託する際の広告についても適切な表示・運用がなされているかを確認する必要があります。

出典①:消費者庁は2017年7月の「打消し表示に関する実態調査報告書」、2018年5月の「スマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書」、同6月の「広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書」と3度に渡る調査を基礎に、同6月に「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」fair_labeling_180607_0004.pdf (caa.go.jp)をまとめた。

出典②:消費者庁「アフィリエイト広告の取引実態」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/assets/representation_cms216_211126_04.pdf

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