ECコラム
ネットショップに興味はあるけど何から取り組めば良いか分からない方、ネットショップで販路拡大を考えている方向けにECに関するノウハウや最新情報を発信していきます。
3大ECモールだけじゃない、独自性を持つ新たな売り場に注目
2022/03/25 最終更新日・2023/02/28
若年女性から高い支持を得ている「Qoo10」
eBay Japan合同会社が運営する「Qoo10(キューテン)」は、アパレル、美容関連商品、食品、家電、生活雑貨、電子チケットなど、様々なジャンルの商品を取り扱っています。若い女性に特化したモールとなっていることが特徴です。そのため、売れ筋としてもコスメやレディースファッションなどが中心となります。とりわけ、ファッションを強化しているところで、2022年4月からファッション関連のブランド公式ショップの出店者に限定した特設の売り場(名称未定)を「Qoo10」内に開設することを計画しています。この売り場ではeBay Japan合同会社が制作会社と連携して出店者の商品のコーディネートや利用シーンを紹介するプロモーション動画を作成して設置するほか、AIを活用して顧客ごとに好みや体形にあわせたコーディネートを訴求するリコメンド機能も採用することが決まっています。また、顧客都合の返品であっても同社が送料を負担する「返品無料サービス」も取り入れていく予定で、購入に関する心理的なハードルを取り除き、ECサイト利用未経験者も含めて広く開拓していく狙いがあり、初年度の売上高は100億円を目指しています。
地方紙と連携した販促メニューが充実している「47CLUB」
次に紹介したいECモールは、全国の地方新聞社や株式会社電通が出資する株式会社47CLUBが運営している「47CLUB」です。このモールでは地域活性化を目的に地方の隠れた人気商品などを紹介することがコンセプトとなっており、連携する地方新聞社45社46紙が厳選した地元名産の商品を中心に取り扱っています。食品や伝統工芸品を中心に、御中元、御歳暮などのギフト需要を喚起することで顧客を獲得しています。
最大の強みとなるのがプロモーションの手厚さで、出店者は各地方紙の紙面に無料で紹介記事を掲載してもらうことが可能です。その影響でテレビへの露出につながることも多く、新聞社が連携して広報・宣伝活動の支援を積極的に行っていることが特徴です。また、地域ごとに専任のショップアドバイザーがサポートしてくれるほか、無料セミナーも全国各地で開催しています。加えて、サイト制作の専門知識を必要としない独自のECシステムを採用しているため、サイト運営の初心者に配慮した売り場と言えるのではないでしょうか。
“au経済圏”が魅力の「au PAY マーケット」
“携帯キャリア系”のECモールであるauコマース&ライフ株式会社とKDDI株式会社が運営する「au PAY マーケット」も注目されています。同モール最大の強みは、KDDI株式会社の携帯電話サービスである「au」ユーザーの獲得が期待できることです。また、2020年5月にはポイントサービスを共通ポイントプログラム「Ponta」に統合しており、その会員数は1億人を超えていることから、Pontaポイントを貯めているユーザーによる買い物も期待できます。KDDIグループでは、携帯電話などの通信事業を中心に、クレジットカード、ポイントサービス、スマートフォン決済、金融・証券などを含んだ「au経済圏」を構築しており、経済圏がより拡大していけば、「au PAY マーケット」へとユーザーが流入し、流通総額も増大していくことが期待されます。
決済手数料が成約手数料に含まれる、分かりやすいプランを採用しており、他のECモールに出品している商品を一括登録する機能もついています。初期費用無料、月額費用5,280円と比較的出店に関するコストが安いこともあり、すでに他のECモールに出店している企業にとっては、特に活用しやすいECモールといえるでしょう。
最近のトピックスとしては、ライブコマースサービス「ライブTV」において、出店店舗による「ライブ配信機能」の提供を開始しました。出店店舗がスマートフォンやパソコンで、ユーザーとリアルタイムでコミュニケーションを取りながら、商品の魅力や特徴を伝えることできるという機能です。ライブ配信で商品を紹介するライブコマースは近年注目を集めており、今までの販促手法ではアプローチできなかった層の取り込みが期待されます。
手軽な通販サイト構築で利用が拡大する「BASE」
ECモールへの出店ではなく、自社で通販サイトを構築したいという企業もあるかと思いますが、未経験の企業にとってハードルの高い作業と思われているのではないでしょうか。最近では「BASE」や「STORES」、「Shopify」など、手軽さを売りにしている通販サイト作成サービスも登場しています。中でもBASE株式会社では、「誰でも簡単にECサイトが始められる」ことをうたい文句とした、通販サイト作成サービス「BASE」を2012年11月から提供しています。2022年1月にはショップ開設数が170万ショップを突破しており、個人やそれに近い小規模事業者を中心に、利用が拡大しています。ECモールに出店する形ではなく、自分たちで通販サイトを開設し、運営することが出来るサービスです。個人やそれに近い小規模事業者にとっては、運営に必要な手間が少ない点が大きなメリットとなっています。
最大の特徴は、初期費用や月額費用が不要なことです。ショップで商品が売れた際の「BASEかんたん決済手数料」と「サービス利用料」が、売上金を入金する際に差し引かれる仕組みです。つまり、商品が売れるまでは費用がかからないため、気軽にECサイトへと参入できるわけです。
広がるECサイト運営の選択肢
初めてECサイトを運営する中小企業や小規模事業者にとって、すでに多くの競合企業がひしめく3大モールに出店しても、中々思うような成果があげられないケースもあるかと思います。また、すでに3大モールに出店している場合であっても、顧客層の拡大に向けて次の売り場を確保していくことは戦略上欠かせない課題となるはずです。今回紹介したECサイトのほとんどは、このコロナ禍において流通総額や利用者数などを前年から伸ばし続けており、まだまだ成長中であることがうかがえます。ECサイト運営の選択肢が広がっている中、自社の商品ラインアップやターゲット層などを踏まえた上で最適な売り場選びを行ってみてはいかがでしょうか。