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ECコラム

ネットショップに興味はあるけど何から取り組めば良いか分からない方、ネットショップで販路拡大を考えている方向けにECに関するノウハウや最新情報を発信していきます。

今日から始められる販売分析の基本

2023/10/04 最終更新日・2024/03/26
※最終更新日時点の記事です
 ECサイトの売上を伸ばしていくためには、販売分析が重要です。一番売れている商品は?利益率は?繁忙期は? などなど、見るべきポイントがあります。これらを「数値」として把握することで、初めて売上を伸ばしていくための「施策」を立てることができます。
毎年私達が「健康診断」を行うように、ECサイトにも判断基準が必要です。判断基準を数値で明らかにし、去年よりも伸びた要因や伸び悩んでいる要因を特定することで、仮説を立てて改善に取り組むことができるからです。

販売分析の基本
販売分析の基本として今回は、まずはこれを押さえておきたいという点に絞ってお話します。
  
図1 販売分析 見るべきポイント
 
図1は、ECサイト側、販売データ側での見るべきポイントです。これらをチェックする理由は、ECサイトの売上の数式【ECサイトへの訪問者数×CVR(購入者数/訪問者数)×客単価】に紐づく指標だからです。
このECサイトの売上の数式に関しては、「ECサイトの改善は、ユーザー視点に立つことからはじめよう!」で詳しく説明しています。
また、これらの見るべきポイントはチェックをするだけでなく、その数値の良し悪しを判断する必要があります。そのためにはKPI(重要業績評価指標)が必要です。販売分析を行う際は、KPI設定もセットで行いましょう。
 
KPI(重要業績評価指標)を設定する
KPIとはKey Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標と言います。KPIは通常KGI(Key Goal Indicator=経営目標達成指標)とセットで考えられます。目標(ゴール)であるKGIに対し、KPIはゴールを達成するためのプロセスにおける指標になります。
ECサイトを運営するA社の2022年度売上は1億円でしたが、損益分岐点売上高を超えるためには1億1,000万円の売上が必要、それ以上だと黒字化することがわかりました。そのためA社は「売上を2022年度から150%アップさせる=1億5,000万円」という目標を立てました。この場合、売り上げ目標の1億5,000万円がKGIになり、その目標を達成するために必要な数値がKPIになります。KPIの項目は、例えば、サイト訪問者数●件、購入率●%アップといったように設定されます(図2)。
  
図2 KPIを設定しよう
 
販売分析 購入前編
購入前の販売分析を行うにあたり見るべき3つのポイント、①どこから人がやってきているのか(流入元)、②どんなページが入り口になっているのか(ランディングページ)、③どの商品がよく見られているのかについて、それぞれ解説します。

①どこから人がやってきているのか(流入元)
ECサイトにどこから人がやってきているのかを知ることはとても重要です。Googleアナリティクスを使えば、どこからユーザーがやってきているか(デフォルトチャネルグループ)を見ることができます。この流入元をGoogleアナリティクスでは18のチャネルで分析しています。(※参考1) 
 
ここで重要なことは「どのチャネルからの訪問者数を増やせば、KPIとして設定したECサイト全体の訪問者数を達成することができるのか、といった道筋を立てること」です。
自然検索が多いのであれば、流入キーワードを調べ、コンテンツを強化することで表示順位を上げます。SNSからの流入が多いのであれば、投稿頻度を増やす、フォロワーを増やすなどの対策により、流入数を増やして目標とするKPIに近づけていきます。

②どんなページが入り口となっているのか(ランディングページ)
検索経由やSNS、広告経由など、ユーザーが初めて訪れるページを「ランディングページ(LP)」と言います。このページは人を集め、次のページへの橋渡しをする役割を持つのでとても重要です。LPが、次のページに繋ぐ役割を担っていなかったとしたら、CVR(ユーザーの購入率)は上がりません。
何を伝えたら、ユーザーの期待に応える内容になるのかなどを仮説立てて、改善を図りましょう。改善したかどうかは、Googleアナリティクスを使い、改善前後でランディングページのエンゲージメント率(※)を比較すると良いでしょう。
※Googleアナリティクスの、訪問者の関心の高さを表す指標
 
③どの商品がよく見られているのか
ECサイトでよく見られている商品を確認することも重要です。よく閲覧されているにも関わらず、売上データと乖離がある場合は注意が必要です。何故ならそのページには、興味を持って商品を見たにも関わらず購買に至らなかった理由が潜んでいるからです。その理由を特定し改善できれば、CVRの改善にも繋がります。
逆に、売上データで一番人気の商品にも関わらず、サイト上であまり閲覧されていないようであれば、その商品がもっと見られるように導線を工夫することで、該当ページを訪問するユーザー数の増加、そして売上アップに繋がります。
 
ECサイトの改善は、ユーザー視点に立つことからはじめよう!」という記事でも詳しく解説しています。是非こちらの記事も参考にしてみてください。


販売分析 購入後編
購入後の販売分析を行うにあたり見るべき3つのポイント、①毎日の購入者数・平均購入個数・平均購入額・1日の売上額、②月次での販売データ、③利益率、④月次での販売構成比について、それぞれ解説します。
 
①毎日の購入者数・平均購入個数・平均購入額・1日の売上額
自社のECサイトの購入者数を把握するには、カートシステムの管理画面から行います。レポート画面を見てみると、購入者数と購入個数、その日の売上などが見られます(図3)。
  
図3 ECサイトの売上管理表例
 
日々計測することで、ECサイトの販売動向を掴んだり、平均購入個数や平均購入額を算出したりすることが可能になります。
図4からは、1週間のうち土曜日から月曜日までの売上がよく、特に日曜日は売上がはね、水曜日は著しく凹むということが読み取れました。
 
次に見るべきは、
●土曜日から月曜日までに何か行うことで売上を最大化することはできそうか?
●水曜日の売上を伸ばすことはできそうか?
 
改善は、数字が大きいところから手を入れることが重要です。土曜日から月曜日までの伸びの要因を確定できれば、そこに施策を打つことで更に伸ばせる可能性があります。一方水曜日は、デイリー平均とのギャップが大きいので、要因を特定できれば伸ばせる可能性があります。
 
②販売データを月次で見てみる
毎日の計測を行えば、月別の数値を集計するのも簡単です。KGIを1億5,000万円とした場合、毎月平均1,250万円の売上が上がれば達成可能となります。
  
図4 ECサイトの月次売上管理表例
 
毎月の売上を細かく見ていくことで、ボーダーラインの1,250万円を超えているか、超えていない場合は残りの月でどう挽回するか? などが見えるようになります。
図4の場合、ボーダーラインを超えられたのは、1月しかありませんでした。11月と12月で残りおよそ5,000万円の売上をあげられれば、KGIは達成できます。
過去年度の分析データから11月と12月の販売予測を立て、達成見込みが立つのであれば施策をやり切る。達成見込みが立たないのであれば、他にできる施策はないか考えて実行することが重要です。

③注意!その施策は利益率を圧迫しませんか?
KGIを1億5,000万円と設定したのは、1億1,000万円の売上をあげることで、損益分岐点を超えるという見通しが立っていたからです。これはあくまで、見込みを立てたときの想定(原価率・広告宣伝費などの諸経費)がベースになっています。
売上を増やすために広告を回す場合は、一般的には利益から広告費を出すので、費用対効果が見合っているのかどうかを必ずチェックしましょう。新商品を投入する場合は、原価率を押し上げないか、押し上げたとしても回収可能かどうかも検討する必要があります。
 
④販売構成比を月次で見てみる
自社の取扱商品の販売構成比を知ることも重要です。売上を牽引している商品は、自社の強みと言えるからです。また逆に、足を引っ張ってしまっている商品を見つけることにも繋がります。
私が過去に運営していたショップでは、人気商品のカラーバリエーションや、似た商品を増やすことで、更に売上を伸ばすことに成功しました。
また、原価率の悪い商品の取り扱いをやめるなども、構成比から判断することができました。何を伸ばして何をやめるか判断するためにも、構成比もチェックしていきましょう。
 
販売分析=KGI達成への近道
販売分析を行うことは、いくつもの改善の道筋を見つけることに繋がります。改善が進めばKPIが達成でき、結果として売上も上がるので、自然とKGIに近づいていくことができます。KGIを立てて終わりではなく、設定したKGIが達成できているかどうかを定期的にチェックし、そのためのKPIの達成状況はどうか、KPIが正しく設定されているかを確認するようにしましょう。
 
参考1:GA4デフォルトチャネルグループ


  
中小機構 中小企業アドバイザー(新市場開拓)
   谷口 千佳
 
『欲しい』と思わせる見せ方と、商品説明、
ブランディングなど。
WEBマーケティングが苦手な担当者が、
頼りにしたくなる本音のアドバイスを!
ECサイトを「客観的に評価してほしい」
というご要望に応えて【辛口or甘口】評論
を独自の視点で展開します。
 




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