ECコラム
ネットショップに興味はあるけど何から取り組めば良いか分からない方、ネットショップで販路拡大を考えている方向けにECに関するノウハウや最新情報を発信していきます。
ECサイトの改善は、ユーザー視点に立つことからはじめよう!
2023/09/21 最終更新日・2024/03/26
ECサイトの売上UPに必要な施策とは?
ネットショップのデータ分析と新規集客手法 でもお伝えしましたが、ECサイトの売上は以下の数式で表すことができます(図1)。
※CVR・・ECサイトの訪問者数のうち、実際に購入した人数の割合
図1 売上の公式
普段からECサイトの売上アップを念頭に置いていると、数式に基づいた改善施策を常に検討していることでしょう。他社の事例を参考にしたり、自社のデータ分析をしたりしながら、様々な施策を行っていると思います。
ですが、果たしてその施策は、本当に自社の「顧客」に合ったものでしょうか?
自社の顧客像を明確にし、心情、行動まで考える
ECサイトを運営する上で、まず初めにやってほしいことがあります。それは、自社の顧客像を明確にすることです。漠然とターゲティングをするのではなく、具体的な顧客を設定し、その心情・行動まで洞察しましょう。このような考え方を、ペルソナと言います。ペルソナがはっきりしてくると、「もっとこうしたほうがいいかな?」「この表現は向いていないかな?」など、改善点が見えてくるはずです。
顧客視点に立ったECサイト改善の進め方
では、ペルソナが設定されているという前提で、顧客視点に立ってECサイトを改善していくには、どのように進めていけばよいでしょうか?
売上UPにつながる施策のうち、訪問者数=集客については、ネットショップのデータ分析と新規集客手法 で説明しています。このコラムでは、CVRと客単価に関わる部分について解説していきます。
ECサイトは大きく、①TOPページ、②カテゴリページ、③商品詳細ページ、④カートページの4つに分けられます(図2)。
図2 ECサイトの主なページ
これに加え、自社のコンセプトを伝えるページ、季節の特集や読み物ページを展開しているサイトもあると思いますが、今回は主となる4つのページについて説明していきます。
①TOPページ ECサイトの顔で伝えたいこと
TOPページは、サイトの顔となるページです。TOPページに来訪する人は、どんな人でしょうか?
● ブランド指名で来訪する新規ユーザー
● ブランド指名で来訪するリピーター
● 特定のキーワードで検索した結果ヒットして来訪した新規ユーザー
このようなユーザーが想定できます。自社のTOPページを見たときに、ユーザーに求められるようなコンテンツは用意されているでしょうか?
表1 ユーザー種別と求められるコンテンツ例
このように(表1)、ユーザーによって求められるコンテンツが変わってきます。新規とリピーターでも異なりますし、ブランド指名で来ているユーザーよりも、特定キーワードで来訪するユーザーの方が、購入までのハードルは高くなります。
②カテゴリページ 自社の商品を最適に分類する
カテゴリページは、ECサイトに掲載しているすべての商品を探しやすくするためにグループ分けしたページです。グループ分けすることで、ユーザーが目的の商品に早くたどり着けるよう導く役割を担います。このカテゴリ=グループ名は、ユーザーが直感的にわかるものでないと意味がありません。よくありがちなのが、デザイン性やイメージを重視して、英語表記にしたり、抽象的な表現をそのままカテゴリ名として当ててしまう、などです(図3-a)。これにより、ユーザーが目的の商品にたどり着けない弊害が生まれます。
また、細かくカテゴリ分けしすぎることや、事実ベースでカテゴリを分けてしまうと、いくら正しくしてもユーザーが混乱することも起こり得ます(図3-b)。
自分たちが分類したものが、ユーザーにとってもわかりやすいものなのかどうか、もう一度見直してみましょう。
図3 わかりにくいカテゴリページ例
③商品詳細ページ 購入に一番近いページに求められるもの
商品詳細ページは、最も購入に近いページです。このページを経由して、ユーザーは商品をカートに追加します。そして購入した後も、使い方に迷ったり商品について知りたいことがあれば、またこのページを見に来ます。実際の店舗と違い、購入時に商品を手に取ったり、リアルでの接客を受けられないECサイトにおいて、商品詳細ページはとても重要なページです。
ユーザーが商品詳細ページに求めることのうち、特商法(特定商取引法)第11条で義務付けられている「価格」「送料」「その他費用」に加え、外してはいけないものは以下です(表2)。
表2 商品詳細ページのコンテンツ例
洋服はサイズが重要ですし、食べ物は内容量や賞味期限は気になるところです。またコスメは肌に直接つけるものなので、テクスチャーや成分が気になります。「もしも私がお客様だったらこういうことを知りたい」という視点を持って、商品詳細を作り込みましょう。ただし、商品紹介では薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)や景表法(不当景品類及び不当表示防止法)に十分ご注意ください。
④カートページ 最後に伝えるべきこと
商品をカートに入れてもらったら、あとは購入手続きに進むだけ。ですが「カート離脱」という言葉があるように、カートに入れたにも関わらず、購入を完了しないお客様がいらっしゃいます。カート離脱をさせないために何ができるかをまとめました(表3)。
表3 カートページのチェックポイント
<戻るボタン>と注文個数
カートまで来たら購入してもらいたいので、商品詳細ページに戻りづらい作りのサイトをよく見かけます。ですが顧客としては、まとめてあれこれと買いたいものです。商品詳細ページや商品一覧ページにすぐに戻ることが出来るよう、カートページに<戻るボタン>を置いてまとめ買いをしやすくすれば、客単価アップが期待できます。日用品などは、ストック用としてまとめて買いたいニーズもあるので、カート内で個数の増減ができるとよいでしょう。
支払い方法
過去に私が運営していたECサイトで、支払い方法を増やすたびにCVRが改善されていった事例があります。例えばAmazonのようなメガモールは、多くのお客様が利用しています。Amazon Payを導入すると、お客様からすればクレジットカード情報や住所の入力の手間が省けるので、それだけでも購入のハードルが下がります。
入力フォーム
特に数字の部分は、全角半角どちらでも通るようにしておきたいものです。時々全角しか受け付けないサイトを見かけますが、なかなか数字を全角で入れることは有りませんよね。それで入力エラーが出ると、よほど欲しい商品でない限り、カート離脱を引き起こす原因となります。数字入力に関しては、全角と半角両方を利用できるようにしておきたいものです。
ユーザー視点に立つことが売上UPの近道に
ユーザー視点に立つと言うことは、自分自身が顧客の立場に立って、その心情や行動を洞察しながら使いやすいか否か?という視点を常に持ち続けることです。また、普段から競合他社や、大きな売上を上げているサイトを自分たちで使いながら自社に活かせる部分を探ることも大切です。自分自身だけではなく、自社商品の顧客像に近い人にECサイトを触ってもらい、その人の意見を聞いてみることも効果的でしょう。
一度に全部実行していくのはとても大変です。まずはできるところから、改善を進めてみてはいかがでしょうか?
中小機構 中小企業アドバイザー(新市場開拓)
谷口 千佳
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