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ECコラム

ネットショップに興味はあるけど何から取り組めば良いか分からない方、ネットショップで販路拡大を考えている方向けにECに関するノウハウや最新情報を発信していきます。

過剰在庫のリスクを認識し、適切な解消を

2021/12/24 最終更新日・2022/01/05
※最終更新日時点の記事です
 売れ残った商品などが在庫として過剰に積み上がってしまうことは、企業にとって大きな問題です。トレンド予測の失敗、暖冬・冷夏などの異常気象ため季節商品が振るわなかったことなど、要因は様々ですが、毎年仕入れや生産を行う通販企業にとって、適正在庫の確保は避けることができない課題と言えます。

 株式会社オークファンでは、過剰となった企業在庫の買い取りサービスなどを展開していますが、国内の卸売・小売業や製造業の商品在庫の合計廃棄損額は年間で約15兆円に上るとの試算を出しています。同社の場合、グループ会社を通じて売れ残り商品となった滞留在庫や返品となった在庫の買い取り・販売サービスを行っており、2021年は企業からの問い合わせ件数が、2019年の2.5倍に増えたといいます。

 同社によると、買い取りが増えている商材としては、アパレル商品をはじめ、食品や飲料水、日用品のほか、コロナ対策関連商品ではマスクや消毒液などがあるようです。近年は、メーカーや実店舗の小売り業者だけでなく、通販企業で過剰在庫に悩んでいるところも少なくないようで、特に2021年はコロナ禍での商品の仕入れ数や生産数を見誤ったという事例を聞くようになったそうです。

 コロナ禍1年目となった2020年はECの利用者が増加したこともあり、通販企業も多くの商品を販売することができました。翌年にも大量の商品が売れることを見込んで、同じような規模で商品を投入しましたが、需要の一巡に加え、通販市場への新規参入企業の拡大で競争が激化し、前年ほどの成果を出せずに売れ残ってしまったというケースも少なからずみられたようです。


ブランド価値を棄損せずに再販する仕組みも

 過剰となってしまった在庫については、いくつかの処分方法があります。一つは値下げやサンプルなどのプロモーション活用による自社処分です。しかし、値下げを繰り返すと消費者に正規価格での購入を避けられる恐れがありますし、また、サンプル用途もそこまで大量の在庫を必要とするわけではありません。そして、次に考えられる処分方法が廃棄ですが、これは焼却などの処分費用が掛かることに加え、近年は環境問題への配慮から、商品を大量廃棄することに二の足を踏むという考え方もあるでしょう。また、リユース・リサイクル業者などの買い取り業者に下取りしてもらう方法もありますが、自社処分価格をさらに下回るような大幅な値引きで広く世間に流通された場合、ブランド価値が大きく棄損してしまうという恐れもあります。

 こうした在庫処分のハードルがいくつかある中で、近年は下取りを希望する企業に配慮した形で買い取りを行う二次流通の仕組みが出来上がりつつあります。具体的には、下取り後の販路について、「実店舗のみ」、「ブランド名を伏せる」などの条件を設けて行う手法です。インターネット上で消費者にブランド名を検索された際にセール品が大量に表示されてしまうことを回避するため、再販条件として実店舗のみでの販売を指定するという方法や、アパレル商品などでは、買い取り業者が下取りした商品のブランドタグや洗濯表示タグを独自のブランドに付け変えて再販するというサービスもあり、元のブランド名を隠しながら、正規流通品の価値を守ることが可能となっています。
そのほかにも、そもそも国内で売れ残ったという事実を伏せたいため、下取り業者に日本ではなく海外のみでの再販という条件をつける場合もあります。中には、メーカーや通販企業など自らが越境ECのプラットフォームに出店して、国内事業では捌ききれなかった在庫を海外向けに販売する事例もあるようです。越境ECプラットフォームを運営するイーベイ・ジャパン株式会社によると、日本とは真逆の気候に当たる南半球に向けて、日本ではシーズン外れとなった売れ残りのアパレル商品を出品する動きが活発になる時期が毎年あるとのことです。


過剰在庫は見えないコストも抱える

 再販する商品の多くは、売れ残った在庫ですから、本来の価格を大きく下回った売り上げにしかなりません。しかしながら、売らずに在庫を抱えてしまうことは、見えないコストを抱えることと同じという見方があります。倉庫にある以上は、保管コストや管理する上でのオペレーションコストなどが掛かるからです。また、新商品を売り出す際にも倉庫内に新たにスペースを確保する必要がありますが、それが古い商品の在庫置き場となってスペースを塞いでしまっていると、新しい商品を開発して出荷することができなくなります。

 基本的に、企業にとっては「在庫=資産」です。また、経営者目線では、値引きして処分することよりも、正規の価格で売ることを考えたいために、倉庫にある商品に対して、「不良在庫」という判断を下すことはなかなか難しいのかもしれません。しかし、売れ残り在庫とはまた別に、もう一つ大きなリスクとして資産価値がゼロになる「保管切れリスク」もあるため、中長期的に見れば、眠っている在庫は会社経営にとって足かせにしかなりません。損切りの判断が遅れて不要なコストがかさんでしまわないよう、まずは、倉庫にある商品の滞留期間などをチェックして洗い出しを行い、また、定期的な棚卸や同業他社の棚卸回転率との比較検討を行うなど、適正化に向けて動きだしてみてはいかがでしょうか。

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