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ECコラム

ネットショップに興味はあるけど何から取り組めば良いか分からない方、ネットショップで販路拡大を考えている方向けにECに関するノウハウや最新情報を発信していきます。

EC活用チャレンジ企画 春 実施レポート

2024/06/17 最終更新日・2024/06/17
※最終更新日時点の記事です
  「自社の商品を世界に紹介したい・もっと販路を広げたい」事業者の皆さまの熱い気持ちにお応えすべく、中小機構では越境ECをより深く理解するためのセミナーやイベントをこれまで行ってきました。今年度も引き続き、越境ECに本気で取り組みたい!という方を、実践的に、強力にサポートする「EC活用チャレンジ企画」を実施します。民間のECサービス事業者と連携して、参加企業の皆さまが具体的な一歩を踏み出すお手伝いをしていきたいと思います。今回は、その第一弾として5月21日に行われた「EC活用チャレンジ企画・春」の模様をレポートします。


「2024年度JAPAN STORE事業について徹底解説」

「EC活用チャレンジ企画・春」は三つのプログラムで構成されています。一つ目は、ジェトロ(日本貿易振興機構)とAmazon が共同で行う「JAPAN STORE事業」についてのご紹介です。これはAmazon.com(アメリカ)と Amazon.co.uk (イギリス)で、日本の販売事業者の商品を掲載・特集するプログラムです。初めて出品する企業の開始準備をサポートし、特設サイトでのプロモーションやデータ分析の提供を通じ、日本企業の海外展開を無料で支援するもので、昨年度に続き新たなエントリー企業・商品の募集開始に伴い開催しました。(Amazon出品費用は別途必要。一部有料のサービスもあります)。
 今回のチャレンジ企画では、今までの実績を踏まえた、Amazonで商品を売るための取り組み方法やポイントを解説しました。
 ※JAPAN STORE事業の詳細はこちらをご覧ください。

 オンラインで開催された今回のチャレンジ企画には、170名を超える多くの皆さまにご参加いただきました。プログラムの冒頭で、皆さんに「今、どんな商品を海外で販売したいと考えていますか?」とチャットで問い掛けたところ、様々な具体的な商品が一気に寄せられ、この企画に対する期待が伝わってきました。
 まず、ジェトロのデジタルマーケティング部のご担当者から、これまでに参加した事業者の方たちのアンケート結果をもとに、事業の課題や活用のポイントをご説明いただきました。この事業も3年目を迎えたからこそ見えてきた、成功事例や注意点もあるようです。

 

JAPAN STORE事業に参加した事業者の95%は、国内外問わずEC経験があるとのことです。一方で、参加時点で海外の売上比率が1割にも満たない事業者が75%とのことで、越境ECにチャレンジしていくための足掛かりとしてJAPAN STORE事業を活用していることがわかります。アンケートでは、参加企業が抱える課題として、初期段階では物流や規制・関税、人員・予算の確保といった体制面での不安が挙げられていました。事業に参加しても、その3分の1の事業者はアカウントが未開設で、出品できずにいるとのことです。
その理由として、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認証取得やVAT(欧州の付加価値税)にかかる登録、物流、口座開設といった準備がハードルになっているようです。ジェトロの担当者からは、「課題は、事業の成長に応じて変化していきます。売り上げが上がって来ると、SEO対策や認知向上などの売り上げ拡大のためのマーケティングが課題になってきます。Amazonに出品したからといって、すぐに売り上げに結び付くわけではありません。アンケート結果からは、売り上げをつくることができた企業の多くは商品ページの改善やSEO対策のためのキーワード設定の見直しを積極的に行っていることがわかります。そして、これらの課題に応えるべく、事業者を支援するプログラムが、JAPAN STORE事業なのです。」というアドバイスを聞くことができました。

具体的なプログラムについては、アマゾンジャパン合同会社のセラーサービス事業本部のご担当者からご説明いただきました。今まで参加した企業が感じている初期の出品準備の不安を例に、事前に取り組むべきことがテンポよく解説されていき、売り上げを拡大するための課題に応えるプログラムがJAPAN STOREであることが具体例とともに共有されました。
(参加できる企業の定員は、米国800社程度、英国200社程度)

  

このほか、ご担当者からは、米国Amazonでの日本商品の売れ筋として、食品、特にだしやお茶といった和風の文化を感じられるものが好まれるといった情報や、JAPAN STORE事業への参加方法について説明がありました。参加者はより具体的な点が気になるようで、「欧州のVATの認証にどれくらいの時間がかかるのか」といった質問が寄せられました。ご担当者からは「最低でも2~3か月はかかる。最近では審査が厳しくなったこともあり半年ほどかかることもある」との回答があり、早めの準備が成功のカギといえそうです。


Amazonで海外展開  注意点・勝ち筋とは?

 二つ目のプログラムは、全世界のAmazonへの進出をサポートする企業、株式会社コンパスポイント代表取締役 岡田昇さんより、海外のAmazonに出店する際の留意点や成功するためのポイントについての説明です。岡田さんは、日本企業は「ものづくりには強いが、売り方に弱い」と感じており、そんな企業の海外進出をサポートしたいという強い思いで越境ECの支援会社を立ち上げたそうです。特にAmazonは、日本の売り上げが3兆9千億円に対し、アメリカでは59兆円を超え、アメリカのECのシェアの3分の1以上を占める(※)ことから、アメリカで越境ECを展開するためにはAmazon攻略は避けては通れないと力説していました。

 

岡田さんからは、海外Amazonに出店する際の注意点として、次のような点があげられました。

・自社が販売主体者として取り組むこと
 商品を卸す感覚では、成功できない。なぜやるのか、といった目的やゴールを明確に持って、自社で主体的に取り組むことが大切。

・中期的な視点を持つこと
   日本と異なり、認知がない状態からのスタートになる。はじめから売れる、ということはまずない。半年、一年、二年といった中長期的な取り組み姿勢を持つ。

・必要最低限のコストを準備すること
   FDAの申請費用や広告費用など、必要最低限のコストは準備する。

この後、プログラムでは、皆さんにもご参加いただき、越境ECに取り組む際に「事前に最低限確認すべきこと」として14のチェックポイントを確認しました(図1)。

 
図1 事前に最低限確認すべきこと

未だできていないなと思うチェックポイントを、チャットを通して皆さまから教えていただいたところ、回答数順で⑧、⑥、⑦、⑫が多く挙げられていました。岡田さんからのアドバイスとしては、これらの項目を全て埋めないとスタートできないということではなく、ポイントを意識することでより課題が明確になり順調なスタートに繋がる、とのことでした。準備として必ずやって欲しいことは、実際に海外Amazonのページを見て、どんな競合商品があるのか、その値段や売り方、レビューでの評価などを調べること。コストを掛けなくても事前にできることはたくさんあるはず、とのことでした。

 Q&Aのセッションでは岡田さんに多くの質問が寄せられました。特に、どう利益化するのかについては皆さんの関心が高く、「一般的にはどの程度の期間で黒字化するのか」という質問が寄せられました。岡田さんからは、ケースバイケースと前置きをしたうえで、単月で黒字が出るのに一年以上かかることは一般的で、事業全体としては二年ほどかかることもある、との回答でした。だからこそ、すぐに結果を求めるのではなく、中長期的な視点で取り組む必要があるという岡田さんからのメッセージと受け止めました。また、今回のチャレンジ企画の参加特典として、コンパスポイントの事業シミュレーションを特典価格で利用できるサービスもご用意いただきました。


ECアドバイス

 今回はオンラインセミナーの形でAmazonでの販売についてお伝えしましたが、商品や経営状況によって課題は各社で様々だと思います。個別の課題に応えるために、チャレンジ企画の三つ目のプログラムでは、専門家によるECアドバイスを行いました。今回のチャレンジ企画に参加した方を対象に、希望者に後日個別のオンライン相談会を実施し、こちらも多くの事業者に参加していただきました。中小機構ではECに特化した専門家とのネットワークを活かして、企業ごとに抱える課題や悩み事に具体的なアドバイスを行うことで更に海外進出を強力にサポートします。

 今回の企画にご参加いただいた方からは「JAPAN STORE事業には既に出品しているが、もっと早くこのセミナーを受ければよかった」「米国Amazon販売において、何をどこまで事前準備すべきかということが明確になりました」等のご感想をいただきました。
EC活用チャレンジ企画ではこれからも越境ECに本気で取り組む事業者の皆さまに対し、様々な企画や特典をご提供していきたいと考えています。次回のEC活用チャレンジ企画は7月23日(火)にオンライン開催予定です。内容は「酒類・食品」を予定しています。開催2週間前から受付開始します。今回見逃した、という皆さまも是非ご参加ください。これからも中小機構のEC活用チャレンジ企画にご期待ください!
 

※ 出典:statista_Annual net sales of America in selected leading markets from 2014 to2023
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