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ECコラム

ネットショップに興味はあるけど何から取り組めば良いか分からない方、ネットショップで販路拡大を考えている方向けにECに関するノウハウや最新情報を発信していきます。

越境ECは日本らしい要素や独自性商品に勝機

2021/11/15 最終更新日・2023/10/06
※最終更新日時点の記事です
フィギュアやトレーディングカード、アーティストグッズは定番

 
日本から海外に向けた越境ECにおいて人気となっているのが、世界中でも馴染みのある日本関連のコンテンツの商品です。これはコロナ禍以前から現在に至るまで変わらない大きな流れとしてあります。具体的には、日本のアニメや漫画、それに付随したフィギュアやトレーディングカード、歌手などアーティストのグッズがあります。少し毛色は異なりますが、海外で人気のデザイナーズブランドなども非常に高い支持を得ています。その他にも、現地では中々手に入りにくいということから、日本製の車用品・バイク用品も人気があり、趣味・嗜好品としては釣り具やゴルフクラブなども中古品を含めて需要が高いようです。

 これらを地域別に見るとその違いは様々で、欧米ではコロナ禍での在宅時間の増加から、動画コンテンツの視聴機会が増えたこともあって、これまで以上にアニメ・漫画に関連したキャラクターグッズが人気となっています。細かいところでは、英語圏でも人気の高い「K-POP(韓国音楽)」グループのグッズといった日本盤として販売されているCD・DVDも売れ筋となっているようです。これは、海外では音楽配信が主流になりつつある中で、日本ではまだまだCD・DVDの文化が根強いため、日本だけの限定特典(缶バッジやポスターなど)を目当てにした購入になると考えられます。

 そして、東アジアや南アジアでも欧米と同様にキャラクターグッズも人気ですが、欧米とは違う傾向として東アジアでは日本のデザイナーズブランドの需要が高い一方で、南アジアでは日本製の車用品・バイク用品の需要が他の地域よりも高くあり、中でもエアロパーツやバンパーといったグレードアップや交換を目的とした商品の購入が見られるようです。このように同じアジアでも地域によって高い人気を獲得しているものは異なります。

 また、地域別の違いとして一つのジャンル、例えばアパレルだけに絞って見ても、欧州では日本の「ロリータファッション」への人気が見られる一方、香港・米国では「ストリート系ブランド」、中国では比較的高単価な「ラグジュアリーブランド」がそれぞれ人気です。このほか、熱帯気候である東南アジアでは商材としてはTシャツがメインになるなど、地域によってジャンルの中でも大きな違いが見られます。


ビーノスグループの2020年越境EC調査資料より引用

独自コンセプトの商品にも勝機が
 
 国をまたいだ取り引きであるため、物流費も多くかかることから現地でも安価で手に入る日用雑貨などをわざわざ越境ECで販売することはハードルが高いのかもしれません。最近では中国発のファストファッションブランドや流行のコスメブランドなども出てきており、日本や韓国、東南アジアなどの若年層から支持を得ていると聞きます。価格やトレンドを後追いしたような商品を売り出しても、すでに固定ファンを持っている中国の新興ブランドの牙城を崩すことは難しいのではないでしょうか。

 そうしたことを考えると、やはり、日本に興味を持っている人が訪日観光できなくなったために現地で土産物として買えなくなった商品や、あるいは日本だけでしか手に入らない限定商品など、「越境ECで購入する理由がある商品」を売り出していくことがヒットの鍵を握るでしょう。日本のアニメや漫画、アーティストのように、元々、海外でも知名度のあるコンテンツにあやかったような関連商品などはその最たるものと言えます。また、コンテンツ商品以外でも、高機能や高品質などで勝負ができる独自コンセプトを持った商品であれば顧客の目に留まることはあるかもしれません。

 こうした状況を見ると、資金力の乏しい中小企業には高いハードルのように感じるかもしれませんが、SNSを駆使した販促などと組み合わせたことで成功した事例もあります。越境EC支援を手がけているビーノスグループによると、ある地方の小さな酒造メーカーの日本酒が台湾でヒットしたことがあったようです。これはSNSでの情報発信などを地道に行ったことで、現地のユーチューバーの目に留まり実際に商品を飲んでいる様子の動画が投稿・拡散されたことで大きな話題となったようです。他にも、従業員が20人程度の日本のゲームソフト会社が日本文化の要素も取り入れた独特なゲームソフトを販売してヒットしています。SNSを使って英語で商品紹介の情報発信をしたところ、そのゲームの存在を知っていた米国のコアなファンが、ゲーム好きな人が集まるウェブ上のコミュニティで拡散してくれたため、大きな反響につながり、想定以上に販売を伸ばすことができたようです。

 このように、海外の消費者はSNSで情報収集することが日本以上に手慣れている面もあるため、独自のコンセプトや強みを持った商品であれば、ウェブ上で目に留まりやすいこともあり、企業の規模を問わず、ヒット商品を生み出す可能性は高くなるのかもしれません。繰り返しになりますが、越境ECを使ってでもわざわざ手に入れたいと思える商品を売ることが成功の近道となるため、日本らしい要素やブランドとしての独自性などをしっかりと入れ込んだ商品を企画することが重要だと考えられます。

 上記の図表を見ても分かるように、確かに売れ筋となっているのは「玩具」や「ゲーム」、「音楽」など海外でも知名度のある人気コンテンツに関わる商品ですが、「ファッション」「アクセサリー」など、必ずしも人気コンテンツの力を借りなくても仕入れや開発ができる商品も上位に入っています。加えて、いくつかの越境ECプラットフォームの中では、コロナ禍で訪日できなくなった海外の顧客が、日本で好んで買い物をしていたようなドラッグストアなどで扱う「サプリメント」や「美容器具」「菓子」といった商材なども売れ筋となっています。商材選びについては、日本製ならではの独自のコンセプトや品質の良さを強みに、輸出先国で受け入れられている商品を参考にしながら、越境ECに挑戦してみましょう。

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