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ECコラム

ネットショップに興味はあるけど何から取り組めば良いか分からない方、ネットショップで販路拡大を考えている方向けにECに関するノウハウや最新情報を発信していきます。

中国向け越境ECの最新動向と展望

2021/08/04 最終更新日・2021/08/04
※最終更新日時点の記事です
訪日観光客の“爆買い”が消失し、消費環境が一変

 新型コロナウイルス感染拡大以前は、訪日した中国人観光客による大量購入の“爆買い”が、国内の小売市場に大きな恩恵をもたらしていました。百貨店やドラッグストア、アパレルショップなどの近くに大型観光バスを乗り付けて大勢で来店し、日用品やブランド品を大量に購入している光景はよく見られたかと思います。

 日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2019年の訪日外国人数は前年比2.2%増の約3188万人です。その内、中国人は最多の約959万人を占めており、来日時に消費する買い物代金としては平均で約10万9000円(図表参照)と、単純計算でも1兆円以上の金額を日本での買い物に使っていたことになります。ところが、コロナ禍となった2020年からは状況が一変します。同年の中国人観光客数は前年比88.9%減の約107万人と一気に9割近くも落ち込んだのです。当然、以前までのような店頭での日本商品の爆買いは見られなくなり、中国人観光客を支えとしていた小売市場は大きな打撃を受けました。

 しかしながら、越境EC市場に関してはこうしたリアルの小売店市場とはまた対照的な動きがあると言われています。中国のある大手ECモール関係者は、リアルで消失した中国人観光客の日本商品の購入需要が越境ECに置き換わりつつあるとの見方を示しており、実際に日本のコスメブランドや美容家電が2020年の中国向け越境ECで大きな売り上げを記録したという話がいくつか聞かれているようです。

 元々、デジタル化が進んでいた中国にとって、コロナ禍はその状況をさらに加速させるきっかけとなりました。日本商品では以前より健康食品やコスメ、日用品など、日々継続して使用するようなジャンルが中国人観光客の支持を得ていましたが、訪日できなくなった今、越境ECを使ってでもそれらを手に入れたいという動きが一般化したとしても何ら不思議はないでしょう。


「在日」のソーシャルバイヤーが存在感

新型コロナウイルス感染拡大以前の訪日中国人の中には、観光客だけではなく、中国のECモールなどに店を持つバイヤーが商品の仕入れ目的で爆買いをしに来ているというケースも少なくありませんでした。彼らはソーシャルバイヤー(※注)とも呼ばれ、日本の店頭で商品を試したり、購入している様子をスマートフォンで撮影してLIVE実況しながらSNSで拡散・集客するということも行っていました。これはライブコマースの一種でもあり、中国でも非常にポピュラーな販売手法ですが、コロナ禍で日本への入国が難しい今は、訪日中国人に代わって在日中国人のソーシャルバイヤーが存在感を増してきているという見方があります。

 中国向けの越境EC支援事業を展開している24ABC株式会社によると、日本在住のソーシャルバイヤーだからこそ、日本の最新の売り場や商品にいつでも触れることができる利点があり、今の中国の消費者にとっては非常に信頼できる購入チャネルになるそうです。加えて、独自で在日コミュニティのネットワークを持っている場合も少なくないため、すでに知名度があるような大手ブランドの商品だけでなく、地方も含めて隠れた日本ブランドなどを発掘できることにもつながるため、貴重な情報源になると認識されているようです。中国向けの越境ECに新規参入を考えている日本企業としては、大きなコストをかけて中国のECモールに自社の店舗を出店するよりも、まずは在日中国人ソーシャルバイヤーを通じて自社のブランドを試験的に販売してもらい、どれだけの成果が見込めるのかを試してみることもよいのではないでしょうか。

今後は介護関連用品の需要にも期待

 いずれにしても、当面は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国をまたいだ移動の制限は続くと見込まれます。そのため、繰り返しになりますが、新型コロナウイルス感染拡大以前に訪日して日本商品を購入していたような中国の消費者は、それまで以上に越境ECを頼る状況となり、インターネットでの取り引きが拡大していくことが予想されます。商品としては、引き続き、健康食品やコスメ、日用品などが売れ筋となると思われますが、中国では「一人っ子政策」の影響もあってか日本以上に少子高齢化が進んでいるという指摘もなされており、関連して介護系の商材も今後は需要が伸びるのではないかという見方もあります。この分野の技術において先鞭をつける日本としては、高品質な車椅子やステッキ、高齢者用のおむつなど様々な商品を販売できる機会を得られるのではないでしょうか。

 そのスケールメリットゆえに、競合相手も数多く存在している中国向けの越境ECですが、ここにきて販売手法や商品トレンドに変化も感じられるため、親和性が見込まれるような商材・ノウハウを持つ企業は、今一度注目してみることもよいのかもしれません。


アリババグループの2020年「独身の日」は過去最高流通総額

 なお、中国EC市場の大規模な商戦期としては11月の「独身の日」をはじめ、3月の「女王節」、6月の「618」などがあり、このほかにも年間を通じて2カ月に1回程度の頻度で比較的大きなセールが行われています。2020年の実績で言いますと、アリババグループのECモール「天猫」が独身の日に開催した大規模セールの「2020天猫ダブルイレブンショッピングフェスティバル」については、販売期間を例年の11月11日に加えて、11月1日~3日にも行うなど2回に拡大したこともあり、最終的な流通総額は前年比26%増で過去最高額となる4982億元(約7兆7200億円)を記録しました。

 また、現在の主要な中国向け越境ECモールとしては「天猫国際(ティーモールグローバル)」や「京東国際(ジンドンワールドワイド)」が挙げられますが、ここにきて、月間で数億人規模の利用者を抱えているSNSの「抖音(ドウイン・TicTok)」や「快手(クワイショウ)」なども越境ECサービスの本格展開に向けて動き出しているようです。彼らが主戦場とする短尺動画を舞台にした新たな競争軸での越境EC市場の行方にも、今後、注目していきたいところです。そのほか、流通額が急拡大している「拼多多(ピンドゥドゥ)」や、都心部の女性中心に利用されているアプリの「小紅書(シャオホンシュー)」も人気の売り場として目が離せません。
(※注:SNSを駆使して集客を図り、海外の商品などを転売して利益を得る代理購入者)

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