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ECコラム

ネットショップに興味はあるけど何から取り組めば良いか分からない方、ネットショップで販路拡大を考えている方向けにECに関するノウハウや最新情報を発信していきます。

これからのモール運営で重視すべきポイントとは

2024/03/19 最終更新日・2024/03/26
※最終更新日時点の記事です
 ECモールを展開する際に、国内3大モールといわれるAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングを選択することがあると思います。本コラムでは、今、モールが重視するポイントを説明しますので、これらを押さえて売り上げ向上に結び付けましょう。

 
■三大モールが推奨する配送サービスとは
 
ニュースでは「物流の2024年問題」が多く取り上げられていますが、図1の通り、国内3大モールでも、配送に関して出店者が重視すべきポイントが示されています。出店店舗の集客や購入率にも関わる重要な要素となりますので、これを機に、自社の物流体制の見直しをおすすめします。

図1 モールの配送サービスの取り組み

はじめに3大モールそれぞれの配送スピード(納期)の方針について説明します。
まず、Amazonですが、通常配送は2営業日以内、お急ぎ便の場合は1営業日以内の配送となっています。
Amazonの物流代行サービスとしてよく耳にするFBAを利用する場合、primeマークが付与されます。このprimeマークとは、Amazonプライム配送特典を提供している商品を表し、購入者への特典として、お急ぎ便・当日お急ぎ便・お届け日指定便の3つが存在します。
 
一方、自社で配送を行う場合、2日営業日以内での配送を推奨しています。遅延が起こると、管理画面上の店舗評価指数が低下し、基準点以下になると出品停止の警告が表示されますので、ご注意ください。
また、自社出荷であっても、一定の出荷実績や配送品質基準を満たすことで、primeマークを付与することもできるAmazonマケプレプライムと呼ばれるプログラムが存在します。
次に、楽天市場ですが、2024年7月より「配送品質向上制度」を実施予定で、配送基準を満たす商品に対し、「配送認定ラベル」が表示されます。商品基準として、「午前中の注文は翌日お届け」「午後の注文は翌々日お届け」を365日指定可能にする設定が必要です。
最後に、Yahoo!ショッピングですが、「優良配送制度」が実施されています。これは、基準を満たす店舗の出品商品に、「優良配送」のマークが表示される制度です[泰中2] 。認定の基準として、正午までのご注文で、指定エリア内なら最短翌日~翌々日にお届けのシステム設定(2日以内での配送を推奨)及び継続運用の遵守が必要です。(配送遅延率 5%を下回る場合など、評価基準数値を下回ると「優良配送」の対象外になります) 
モールが推奨する配送サービスを自社で行うには、配送の業務フローや運営体制の見直しが必要になります。物流業務に関わる負担も大きくなる事から、アウトソーシングでの対応が主流になっています。これによってモールが推奨する配送サービスにも対応が可能になり、配送業務に関わるリソースや在庫保管費用が軽減され、かつ送料も自社で配送業者と個別契約するよりも安価に設定する事が可能になります。更に、売り上げ向上施策として、次のような効果が期待できます。更に、売り上げ向上施策として、次のような効果が期待できます。
 
まず、Amazonでは、primeマークが表示されることで、短納期による購入率の向上や顧客満足の向上が見込めます。Amazonでは売れている商品は検索上位をキープしやすい仕組になっているため、好循環を生み、継続的な売上アップ施策として重要な要素になります。
次に、楽天市場では、「配送認定ラベル」の付与による影響はまだ未知数ですが、ラベル表示による信頼性アップや検索結果上で何らかの優遇を受ける可能性が高く、クリック数の増加や購入率の向上が期待できます。
また、楽天物流(RSL)という物流サービスは、Amazon同様に楽天市場が指定する倉庫に商品を納品する事で、配送業務の代行を行えます。導入には専門部署との商談や、楽天サイトの運営管理を行うシステム(RMS)とRSLを連携するシステム(BOSS)の導入が推奨され、一連の整備には若干の準備期間が必要です。
最後に、Yahoo!ショッピングでは、「優良配送」が表示された商品は、Yahoo!ショッピング内で検索されたときに上位表示されるというアドバンテージがあります。配送のスピーディーさをイメージしたトラックのマークの表示によるアイキャッチも上がり、他店舗の商品ページに比較対象として表示されるので、クリック数の増加にもつながります。そのため、現状ではYahoo!ショッピングで売上を上げるための施策として、最も優先すべき項目のひとつとなっています。
また、同社が推奨している物流業者に委託する事で、物流代行サービスが利用できます。Amazonや楽天市場との相違点として、Yahoo!ショッピング直営の企業ではないため、自身で物流業者を選び商談を行う必要があります。業者による条件面が異なるため、導入までは計画的な準備が必要となります。


■3大モールが重視するブランドの保護とは
 
 
図2 モールのブランド保護の取り組み
  
もうひとつ、3大モールが重視しているポイントとして「ブランド保護」の方針があります。 ブランド保護の目的としては、主に模倣品による売り上げの損失や、転売、ブランドイメージの毀損による、出品企業の保護です。特にモール内でブランド認定されている店舗(商品)であるとアピールする事で、信頼性が向上し、自社の商品を正しく他社と比較検討させることができます。
3大モールごとのブランド保護に関する対応の特徴ですが、まず、Amazonではブランド保有店舗である証明として、必要書類等を提供する事で、ブランド申請を行う事ができます。ブランド登録(ブランドレジストリー) が 行われると、ブランド独自のストアページ(Amazon内に追加費用なしでTOPページが作成可能)、ブランドストーリー(商品ページ内にブランドアピールができるコンテンツを挿入可能)の利用、またブランド登録店舗特有の広告も利用が可能になります。
次に、楽天市場では、ある程度知名度の高い ブランド保有店舗に対してのみ、ブランド認定店舗として登録する事が可能です(一般的な申請メニューとしては公開されていません)。登録後、モール内検索でブランド名での検索を行うと、上部にブランドロゴと共にブランド保有店舗へのリンクが表示されます。その他、ブランド認定店舗だけが利用できる特別な広告があります。なお、仕入商品として他社ブランド商品を店舗で取り扱う場合、取扱いブランドによっては、正規品の販売を行うという証明(申請)が必要になります。
最後に、Yahoo!ショッピングですが、「ブランド認定店舗制度」があり楽天市場と同様に、ある程度認知度の高いブランドがある店舗だけが登録可能です。

一方、認知度があまりないブランド保有店舗でなくても、独自のストア基準を満たす事で受けられる、「優良店認定」という制度があります。この認定 により、店舗としての信頼性をアピールできます。その他、「知的財産権保護プログラム」があり、知的財産 が侵害された出品物を発見した際に、専用フォームから削除依頼を申告できる仕組があります。楽天市場やYahoo!ショッピングでは、ある程度知名度のあるブランド保有店舗でないと、モールのブランド保護の仕組みを利用できませんが、Amazonでは、製造元として商標登録された商品であれば、ほぼブランド登録をする事ができます。これにより、モール内SEOの他、ブランディングの向上としても活用することができます。これから製造元としての直接販売を行う場合でも、ブランド登録制度を利用する事で、早期ブランドの認知や模倣品対策、また販売促進にもつながりやすくなります。


■まとめ

冒頭で触れたように、ニュースや業界の動向から、物流業界は2024年問題に直面しています。物流におけるこの重要な転換期は、国内3大モールも少なからず影響を受けており、出店者も配送に関する課題に直面しています。
今後、配送の品質やスピードは出店店舗の集客や購入率に直結する重要な要素となるでしょう。そのため、自社の物流体制を見直すことが必須です。また、今後のモール運営で重視すべきブランド保護についても説明しました。国内EC市場が成熟期に入っていることを踏まえ、これからの成功を掴むには、常に新たなトレンドや消費者のニーズに合わせた売り方や運営体制の見直しを行い、売り上げ向上に結び付けて下さい。


 


中小機構 中小企業アドバイザー(新市場開拓)
   高杉 透
 
楽天、Amazon、Y!ショッピングからBASE、STORESまで、
実際の画面を操作しながらのアドバイスは好評で
『予約が取りにくいアドバイザー』のひとり。

売れるECの実現に向けて、豊富な知識と経験で伴走します。   

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