事例集
現地の消費者ニーズをつかんだ商品選びと丁寧な対応で和食器販売に成果
- 企業名:
- 株式会社Union marc
- 代表者:
- 東あゆみ
- 事業内容:
- 和食器のECサイト「Zen Table Japan」の運営、EC運営代行・コンサルティング、リラクゼーションサロンの運営
- Web サイト:
- https://unionmarc.com/
会社概要
所在地:愛知県名古屋市東区東桜2-9-15 MATRIX36 3階
資本金:300万円
従業員:7人
EC経験:食器のECサイトの責任者として2015年から楽天の越境ECサービス「Rakuten Global Market」および米Amazonで越境ECを開始。その後、独立・起業し、前職のECサイトを引き継いで、2018年から「Zen Table Japan」として改めてAmazonおよび自社サイトで越境ECを開始。
売上高:非公開
自社ECサイト:https://www.zentablejapan.com/
ECモール:Amazon(米国)
資本金:300万円
従業員:7人
EC経験:食器のECサイトの責任者として2015年から楽天の越境ECサービス「Rakuten Global Market」および米Amazonで越境ECを開始。その後、独立・起業し、前職のECサイトを引き継いで、2018年から「Zen Table Japan」として改めてAmazonおよび自社サイトで越境ECを開始。
売上高:非公開
自社ECサイト:https://www.zentablejapan.com/
ECモール:Amazon(米国)
越境ECに取り組んだきっかけ
前職では「楽天市場」を中心にECサイトの運営を行い、国内では順調に売り上げを伸ばしていったが、長らく競合店と価格競争でシェアを奪い合う状況で、伸び悩みを感じていた。そうした中で、さらなる成長に向けて活路を見出すために越境ECに取り組むことにした。参入先として欧州なども検討したが、まずは世界有数の市場規模を誇る米国で越境ECを始めることにした。
越境ECを始めた当初課題と考えていたこと
・国内EC業務で従業員は忙しく、越境ECを行うことで新たに発生する業務に対処できる体制作りが喫緊の課題だった。業務を簡略化することができる仕組みを作り、越境EC業務の工数を極力減らす工夫をすることで解消していった。
・現地の消費者のニーズが分からず、米国で販売すべき適切な商品選定方法の確立が課題だった。まずは国内ECで販売してきた商品から販売可能なものをすべて米国でも販売して、その中で売れ行きが良かった商品や類似した商品群などを中心に販売を強化して徐々に売れ行きのよい商品を見つけ出し、拡販していった。
・現地の消費者のニーズが分からず、米国で販売すべき適切な商品選定方法の確立が課題だった。まずは国内ECで販売してきた商品から販売可能なものをすべて米国でも販売して、その中で売れ行きが良かった商品や類似した商品群などを中心に販売を強化して徐々に売れ行きのよい商品を見つけ出し、拡販していった。
ECの取り組み状況
○主な商品名
・Stylish and Versatile Bowl Plate Matte Black Set of 2
・Sake Bottle (Tokkuri) and 2 SakeCups (Guinomi) Set with Gift Box
・Larger Rice Bowl Set of 4 Japanese Retro Design White x Blue
〇メインの出店先
Amazon(米国)
○ターゲット
和食器に興味・関心がある層(世代や性別問わず)
○プロモーション方法
Amazonでの販売商品数を増やし、商品検索から販売ページへ誘導する導線作りが主な集客策。また、販売商品登録時に商品名やキーワードを工夫した。なおAmazonでのリスティング広告など有償の広告商品は費用対効果が合わず利用していない。また、InstagramなどのSNSを活用した集客施策も実施していたが、効果が薄かったため、現在では実施していない。
○運営体制
運営:2名(受注から顧客対応、発送業務まですべて行う)
・Stylish and Versatile Bowl Plate Matte Black Set of 2
・Sake Bottle (Tokkuri) and 2 SakeCups (Guinomi) Set with Gift Box
・Larger Rice Bowl Set of 4 Japanese Retro Design White x Blue
〇メインの出店先
Amazon(米国)
○ターゲット
和食器に興味・関心がある層(世代や性別問わず)
○プロモーション方法
Amazonでの販売商品数を増やし、商品検索から販売ページへ誘導する導線作りが主な集客策。また、販売商品登録時に商品名やキーワードを工夫した。なおAmazonでのリスティング広告など有償の広告商品は費用対効果が合わず利用していない。また、InstagramなどのSNSを活用した集客施策も実施していたが、効果が薄かったため、現在では実施していない。
○運営体制
運営:2名(受注から顧客対応、発送業務まですべて行う)
EC事業開始から現在までの歩み
前職の食器のEC事業会社時代に2015年から責任者として米国に向けて、楽天の越境ECサービス「Rakuten Global Market」およびAmazon(※配送代行サービス「フルフィルメントby Amazon(FBA)」を利用して、カナダなど米国周辺国にも同時出店して越境ECを始めた。売れ筋の把握のため、主要販路のAmazonでは国内ECで販売していた約1万点の和食器などの商品をまずはインターネット上の無料翻訳サービスを使って、商品の説明文を日本語から英語に翻訳してすべて登録した。誤訳などで登録エラーとなった商品を除く3,000~4,000点については商品価格に送料や為替差分を上乗せし、損をしない価格で販売、その中での売れ筋商品やそれに類似した商品群について再度、商品の説明や商品ページを作りこむなどして販売を強化した。また、売れ行きと配送料金のバランスを見ながら、セット商品の組み合わせや価格設定などを変更していった。2018年に独立・起業し、前職のECサイトを引き継いで、「Zen Table Japan」として、改めてAmazonおよび自社サイトで本腰を入れて越境ECを開始し、2019年まで右肩上がりの成長を続けた。2020年以降はコロナ禍などにより、FBAの倉庫への納品制限や、国際郵便小型包装物の受入停止、航空機の減便・運休など配送面の影響があり、販売する商品点数を絞るなど積極的な販売は抑えている状況である。
企業サイト/ECサイト
トップページ
商品ページ
ECでの工夫や自社の強みと考えていること、今後の展望など
〇ECでの工夫
・悪質なレビューには素早く対応している。中には意味不明な低評価レビューもあり、Amazonからの評価を下げ、売れ行きにも影響を及ぼすことがあるためだ。悪質なレビューが投稿された場合は、適宜、Amazonへ申し立てを行い、削除してもらっている。
・米国の顧客からの英語によるメールでの問い合わせには定型文を作成して対応するなど業務を簡略化することができる仕組みを作り、工数を極力減らす工夫をしている。
・配送物の取り扱いが国内よりも雑な海外の配送業者によるものとみられる商品破損を抑えるため、国内の配送時よりも厳重な梱包方法を研究して実践しているほか、割れ物を表す「fragile」と描いた目立つオリジナルステッカーを作成して、配送業者の目を引くような場所に貼るなどの工夫をしている。
・商品配送時に破損があった際、商品購入者が破損した商品や梱包状態の写真を撮影して、指定のメールアドレスに送信するなどの再配送のための対応方法と注意事項(英文)を同梱している。取り扱う商品が陶器など破損しやすいため、事前に案内をしておくことで顧客に配慮するとともに、再送などUnion marc側の対応も効率的に行えるようにしている。
〇自社の強み
・取り扱う食器(美濃焼)は日本の陶芸家によって作られた日本製の高品質な製品を仕入れている。季節や自然を引き立たせる伝統的なものから、スタイリッシュなものまでさまざまなデザインの食器を用意し、手頃な価格から高級な食器まで個人としての日常使いやギフト、飲食店での使用も可能な多くの商品を取り揃えて幅広いニーズを取り込んでいる。
・前職での目利き経験や社内で蓄積した商品選定のノウハウを融合させ、年々独自の商品選定の仕組みを改善し、拡販を強化できる体制を構築している。
・Amazonへ出品を開始した当初は、「Google翻訳」を使って日本語の商品説明を英文に翻訳して掲載していたが、現在では現地で生活して、現地の消費者の思考が分かる米国在住のスタッフが商品の出品作業を担当しており、米国の消費者に伝わりやすい商品説明文を記載している。例えば、「小鉢」や「煮物鉢」を「Salad Bowl」「Cereal Bowl」など現地の消費者の用途に合わせた文言に変更し、分かりやすくしている。
〇今後の展望
和食器のECに関してはコロナ禍の影響で配送関連費などが値上がりしているため、積極的な売り上げの拡大や投資などは行わず、様子を見ている状況である。ただ、越境ECで商品を販売するという仕組みは構築できているため、コロナ禍による配送関連費の上昇などが落ち着いてきたタイミングで他のジャンルの商品も今後は販売していきたいと思っている。また、これまで蓄積したノウハウを活用して、越境ECへの参入を考えている日本の事業者への支援事業を本格的に展開していきたいと考えている。
・悪質なレビューには素早く対応している。中には意味不明な低評価レビューもあり、Amazonからの評価を下げ、売れ行きにも影響を及ぼすことがあるためだ。悪質なレビューが投稿された場合は、適宜、Amazonへ申し立てを行い、削除してもらっている。
・米国の顧客からの英語によるメールでの問い合わせには定型文を作成して対応するなど業務を簡略化することができる仕組みを作り、工数を極力減らす工夫をしている。
・配送物の取り扱いが国内よりも雑な海外の配送業者によるものとみられる商品破損を抑えるため、国内の配送時よりも厳重な梱包方法を研究して実践しているほか、割れ物を表す「fragile」と描いた目立つオリジナルステッカーを作成して、配送業者の目を引くような場所に貼るなどの工夫をしている。
・商品配送時に破損があった際、商品購入者が破損した商品や梱包状態の写真を撮影して、指定のメールアドレスに送信するなどの再配送のための対応方法と注意事項(英文)を同梱している。取り扱う商品が陶器など破損しやすいため、事前に案内をしておくことで顧客に配慮するとともに、再送などUnion marc側の対応も効率的に行えるようにしている。
〇自社の強み
・取り扱う食器(美濃焼)は日本の陶芸家によって作られた日本製の高品質な製品を仕入れている。季節や自然を引き立たせる伝統的なものから、スタイリッシュなものまでさまざまなデザインの食器を用意し、手頃な価格から高級な食器まで個人としての日常使いやギフト、飲食店での使用も可能な多くの商品を取り揃えて幅広いニーズを取り込んでいる。
・前職での目利き経験や社内で蓄積した商品選定のノウハウを融合させ、年々独自の商品選定の仕組みを改善し、拡販を強化できる体制を構築している。
・Amazonへ出品を開始した当初は、「Google翻訳」を使って日本語の商品説明を英文に翻訳して掲載していたが、現在では現地で生活して、現地の消費者の思考が分かる米国在住のスタッフが商品の出品作業を担当しており、米国の消費者に伝わりやすい商品説明文を記載している。例えば、「小鉢」や「煮物鉢」を「Salad Bowl」「Cereal Bowl」など現地の消費者の用途に合わせた文言に変更し、分かりやすくしている。
〇今後の展望
和食器のECに関してはコロナ禍の影響で配送関連費などが値上がりしているため、積極的な売り上げの拡大や投資などは行わず、様子を見ている状況である。ただ、越境ECで商品を販売するという仕組みは構築できているため、コロナ禍による配送関連費の上昇などが落ち着いてきたタイミングで他のジャンルの商品も今後は販売していきたいと思っている。また、これまで蓄積したノウハウを活用して、越境ECへの参入を考えている日本の事業者への支援事業を本格的に展開していきたいと考えている。
売れ筋
・Stylish and Versatile Bowl Plate Matte Black Set of 2
【米国】39.99米ドル
・Sake Bottle (Tokkuri) and 2 SakeCups (Guinomi) Set with Gift Box
【米国】65.99米ドル
・Larger Rice Bowl Set of 4 Japanese Retro Design White x Blue
【米国】49.99米ドル
【米国】39.99米ドル
・Sake Bottle (Tokkuri) and 2 SakeCups (Guinomi) Set with Gift Box
【米国】65.99米ドル
・Larger Rice Bowl Set of 4 Japanese Retro Design White x Blue
【米国】49.99米ドル
本事例からの学び
1.市場調査などのマーケティングを行い、海外ではどんな商品が売れるのかを予測しながら販売商品を選定していく慎重さも時には必要ですが、まずは日本で販売している商品を現地で販売してみてはいかがでしょうか。Union marcでも国内ECでの取扱商品をそのまま米国で販売し、その中で売れ行きが良かった商品や類似した商品群などについて商品説明の翻訳の精度を上げるなどして拡販を強化していきました。国内では売れ筋でない商品や送料や為替によって日本で販売している価格の3倍程度となってしまった商品でも現地の消費者にとっては魅力的な商品もあるようです。まずは損をしない価格で様々な商品を販売しながら、現地の消費者にとって価値ある商品を選び出すノウハウや知見を蓄積してみてはいかがでしょうか。
2.越境ECを行う上でネックの1つとなるのが配送時の商品の破損です。国内に比べて、海外の配送業者の多くは丁寧に荷物を扱わないようです。その結果、中身の商品が破損することも少なくないようですが、段ボールがつぶれるような明らかな過失でない限り、配送会社に責任を問うのは難しいのが実情です。とはいえ、破損商品が届けられた顧客のもとには商品を再送しなければなりません。その際には商品代金のほか、国内ECとは比較にならないほど高い配送料を負担する必要があります。つまり、いかに商品の破損を避けることができるかがポイントになります。Union marcでも「荷物が投げられても壊れない」ことを前提とした厳重な梱包方法しているほか、配送業者が目を引くような目立つオリジナルステッカーを作成し、貼り付けて破損を減らしています。昨今、送料が上昇している中、基本的なことですが、越境ECでは必須の施策でしょう。
2.越境ECを行う上でネックの1つとなるのが配送時の商品の破損です。国内に比べて、海外の配送業者の多くは丁寧に荷物を扱わないようです。その結果、中身の商品が破損することも少なくないようですが、段ボールがつぶれるような明らかな過失でない限り、配送会社に責任を問うのは難しいのが実情です。とはいえ、破損商品が届けられた顧客のもとには商品を再送しなければなりません。その際には商品代金のほか、国内ECとは比較にならないほど高い配送料を負担する必要があります。つまり、いかに商品の破損を避けることができるかがポイントになります。Union marcでも「荷物が投げられても壊れない」ことを前提とした厳重な梱包方法しているほか、配送業者が目を引くような目立つオリジナルステッカーを作成し、貼り付けて破損を減らしています。昨今、送料が上昇している中、基本的なことですが、越境ECでは必須の施策でしょう。