事例集
400年の歴史を持つ高岡銅器の伝統を世界へ (平成29年度モール活用型ECマーケティング支援事業)
- 企業名:
- 株式会社能作
- 代表者:
- 能作 克治
- 事業内容:
- 錫製品・銅製品の製造・小売
- Web サイト:
- https://www.nousaku.co.jp/
企業紹介
・所在地:富山県
・資本金:3000万円
・従業員:145名
越境ECに取り組んだきっかけ
錫製品・銅製品の小売市場(海外市場)はEC市場に押され縮小傾向を実感している。これまで代理店とも協力してきたがどうしても実店舗のコストがネックとなり、十分な実績が出ないため、モールを活用したECを活用して消費者への直接販売増加を目指した。直接消費者から海外配送や購入についてのお問い合わせメールが届く件数も増えてきており、手応えを感じていた。
海外で想定される強み
伝統と確かな技術力、デザイン、アイデアを発揮した製品を製造していることが強みである。高岡銅器の伝統を受け継いだデザインは海外メディアにも評判であり、業界から注目されている。アメリカでの商標も取得している。また、自社の店舗や都内百貨店などで製品を販売し、インバウンド客に製品を手にとって感じてもらうことができることも強みである。圧倒的な能作ブランディングと歴史、リアル販売があることが強みとなっている。
自社のリアルでの強み
高岡銅器の伝統を受け継ぎ、新しい技術により素材を最大限に生かすデザインを追求し続けており、高岡を中心に日本全国で愛される錫製品・銅製品の製造販売を行なっていることが強み。国内・越境ECサイト、SNS、複数マスメディア、DM、カタログなどを組み合わせたオムニチャネル化に早くから取り組み、徹底したメディア戦略を実施することで、競合他社に引けを取らない強固な事業となっている。
越境ECの計画(補助事業申請時)・実積
【計画】
<海外経験>
有<取扱商品>
風鈴・花器・香立て<主なターゲット国>
ドイツ、フランス、英国→採択後、アメリカに変更
<ターゲット>
‐趣味やインテリアにお金をかけることのできる富裕層‐日本の伝統やものづくりの技術をリスペクトしている人々
‐デザイン性が高く、ユニークなプロダクトを求める層
<出店サイト>
モール出店(Amazon.com)<プロモーション方法>
(代理店の有無:無)‐インスタグラム(商品使用イメージの掲載、ECへの誘導)
<運営体制>
モール運営:自社2名(兼務)商品管理:自社2名(兼務)
顧客対応:自社2名:メール対応
<発送方法>
直送モデル(サービス名:EMS)現地倉庫経由モデル(サービス名: Amazon FBA)
【実績】
<出店サイト>
URL:https://www.amazon.com/stores/node/8153417011?_encoding=UTF8&field-lbr_brands_ browse-bin=NOUSAKU
<出店開始>
2018年7月越境ECの課題・対策
<越境EC出店時>
補助金を活用しAmazonに出店をした。英語に不自由はないためFBA国際配送に関する部分だけを物流業者に委託したが、出店に関するアカウント取得、米国銀行口座開設などは機構の専門家のアドバイスや配布されたマニュアル、自らグーグル検索をを使って、自力で開設から出品までの業務を行なった。しかしほぼ全てを自力で対応したため、アカウント開設まで1ヶ月半以上もの時間を費やしたところが反省点である。<越境EC運営時>
商品の配送については、壊れやすいものは自社配送としているが、ほとんどはFBAを使っている。FBAにある在庫はトータルで100個程(15~20種類 の商品)。一番の問題は売上が出ても利益が出ない状態が続いていること。アマゾン販売手数料に加え、倉庫利用費用やピッキング費用、物流業務委託費用などが重しとなっている。また、能作が販売している商品と同じ商品がモールで安値販売されているのも苦戦もしている要因の一つ。商標登録済みのため、他者の商品の取り下げをAmazonに申請したり、販売する出品者に直接連絡をしているが取り下げに至らないケースが大半であるため、他者から売られていない商品を出品して売れるようになった。現状、越境EC事業を行う海外事業部の担当は2名のみで、海外の展示会への出店や代理店とのやり取りも行っており、越境ECにかけるリソースが逼迫している。対策として、機構の専門家からのアドバイスにより、業務委託や在宅ワーカーを利用した運営方法も調査・検討していく。返品も数品あったが、返品の理由は不明のまま。理由を知りたいが難しい状況。今後ある程度の返品率を想定した海外販売価格を設定する必要がある。SNSについてはInstagramを海外用アカウントで運用。能作の商品は、特にアジアでブランド力があるので欧米とアジアに今後攻めていく。今後の越境ECの方針
現状、越境ECは1つのECモールでの出店のみだが、今後は他の海外ECモールや、越境EC自社サイトで本店ショップ構築販売も検討している。一方で、代理店を置いている地域もあるためそのような地域に対しては直接越境ECでは売れない。小売店に卸すのをメインとする国と、自力で展開しなければならない国のすみわけをする工夫が必要。越境EC事業としては、結果として現状では利益が出ておらず、マーケティング的出店の位置付けとなってしまっており、早期に本格化させたいが、人的リソースの問題もあり、会社としての越境ECの方針を固めていく必要がある。
専門家:山田彰彦