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事例集

メイドインジャパンの商品力、海外でも高い評価

企業名:
株式会社ダイアン・サービス
代表者:
佐伯午郎
事業内容:
エアコンや空気清浄機のリース販売・メンテナンス、空調関連機器の販売など
Web サイト:
https://www.daian.co.jp/

会社概要

所在地:東京都目黒区中央町1-3-2
資本金:5100万円
従業員:約40人
EC経験:国内でのECは2010年頃から自社Webサイトで開始。越境ECは2016年から米Amazonでスタート、2020年から豪Amazon、シンガポールShopee、2021年2月から台湾ShopeeおよびマレーシアShopeeに出店した。
売上高:非公開
自社ECサイト:https://www.daian.co.jp/
ECモール:
Shopee Singapore :https://shopee.sg/shop/352127862/
Shopee Taiwan :https://shopee.tw/shop/386010149/
Shopee Malaysia :https://shopee.com.my/shop/379317702/
Amazonマーケットプレイス(米):https://www.amazon.com/sp?_encoding=UTF8&asin=&isAmazonFulfilled=1&isCBA=&marketplaceID=ATVPDKIKX0DER&orderID=&protocol=current&seller=A34JPOSQV18ZYD&sshmPath=
Amazonマーケットプレイス(豪):https://www.amazon.com.au/sp?_encoding=UTF8&asin=&isAmazonFulfilled=1&isCBA=&marketplaceID=A39IBJ37TRP1C6&orderID=&protocol=current&seller=A1Q4EZK0UZTPM8&sshmPath=

越境ECに取り組んだきっかけ

主力製品の「エアーウィング」(エアコンの風よけ)の販路拡大のため、自社Webサイトで国内向けにECを行っていたが、米国をはじめ海外からの問い合わせが来るようになってきた。また、エアコンメーカーとの共同開発商品を当該メーカーの海外の販売代理店を通じて販売しており、現地で販売が伸び始めたことなどで越境ECに商機を感じ取り組むことにした。

越境ECを始めた当初課題と考えていたこと

・広告の出稿方法や露出先など、国内向けECと集客のための効果的な施策が異なることや、その手段も不明だったため、海外(米国)での効率的な集客方法を身に付けることが、ECを始めた当初の喫緊の課題であった。
・先行して取り組んできた米Amazonでの越境ECでは、Amazonの出品者向け配送代行サービス「フルフィルメント by Amazon」(FBA)を利用。スムーズな配送の実現や現地からの問い合わせ対応をまかせられるなどのメリットがある一方、一定期間内に売れなかった商品はAmazonの倉庫から返品されるため、非効率な面があり、徐々に課題として顕在化してきた。越境ECの本格化にあたって海外で在庫を置くことなく、日本から直接発送できるShopeeに出店することで負担の少ない配送体制の確立を図った。

ECの取り組み状況

○主な商品名
・エアーウィングi-Kit
・エアーウィングkazeyoke
・エアーウィングPRO

○メインの出店先
Shopee、Amazon

○ターゲット
30~40代の「(冷房の冷え等の)エアコンの効きすぎ」に悩む人。

○プロモーション方法
Shopeeでは商品検索の検索結果画面に表示する検索連動型広告をメインに、購入額に応じてポイント還元を行うキャッシュバックプログラムなども実施。広告費は月平均数万円程度。Amazonではモール内の広告のほか、Facebook上に広告を出稿し、集客している。

○運営体制
運営:2名
※受注から顧客対応まですべて行う。発送業務は提携倉庫事業者に外注

EC事業開始から現在までの歩み

2016年に米Amazonで越境ECを開始した当初は主力製品および「エアコンの風よけ」というもの自体の認知度が高くなかった。また、越境ECの知識などが少なく、なかなか売り上げが伸びていかなかった。その後、Amazon内の検索連動型広告への出稿を開始し、商品の特長を分かりやすく伝えるために商品ページ内の写真の入れ替えや商品説明の文言を工夫するなどの改善に地道に取り組んだ。そうした施策を行ったことで売れ行きが徐々に伸び、ECモール内での露出も高まった。それに加えて、Facebookなど外部のSNSへの広告出稿の効果などで徐々に売り上げが上がっていった。越境ECをさらに本格化するために、豪Amazonへの展開のほか、経済発展著しい東南アジアへの進出を模索。その一環として当該地域のECモールのシェアトップで、国内からの商品発送もでき、在庫リスクが少ないと判断したShopeeへの出店を開始。2020年末から2021年にかけてシンガポール、台湾、マレーシアに順次出店。現状、Shopeeの売り上げシェアの9割はシンガポールとなっている。2020年はコロナ禍によるロックダウンの影響もあり、法人からの受注が減ったが、2021年からは徐々に回復基調にある。

ECサイト

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商品ページ



ECでの工夫や自社の強みと考えていること、今後の展望など

〇ECでの工夫
商品の詳細ページを工夫。国によって異なるエアコンの一般的な仕様や設置方法といった事情に即して、現地の消費者が利用シーンをイメージしやすい画像の使用や、商品説明文に変更している。また、商品のタイトルや説明文のほか、アイコンの画像にも「MADE IN JAPAN」という文言を入れるようにし、海外の消費者が期待する「高品質な日本製商品」というイメージを分かりやすく訴求している。商品に同梱する取付方法などを説明した書面についても、イラストなどで十分に現地の消費者に伝わると判断し、あえて翻訳せずに日本語のままとし、日本製という信頼感を醸成している。

〇自社の強み
商品力が最大の強み。ネジや穴あけも不要で、天井や壁を傷めることなく簡単にエアコンに取り付けられるようにした独自製品である「エアーウィング」は機能性や品質面で他の類似品と一線を画しており、海外の顧客からも品質面を評価するレビューが多い。現状、越境ECの売れ行きトップは各国とも自分で組み立てるタイプで価格を抑えた「エアーウィングi-Kit」となっている。なお、「エアーウィング」は1997年に開発し、実用新案登録している。今後はすでに日本では販売しているエアコンに張り付けるタイプの除菌フィルターなど海外展開商品を順次増やす計画でいる。

〇今後の展望
「エアーウィング」は国内はもちろん、世界でも非常にニーズが高く、また貢献できる製品。これからも私たちに不可欠な心地よい「空気」をテーマに、持続可能なよいシーズ・よい技術でつくられた製品を広く使っていただき、人々の健康や働きやすさに貢献したい。特に経済成長が著しい東南アジア地域での越境ECを強化していきたい。現在、「エアーウィング」を中心に12商品を販売しているが、トドマツの成分を塗工させ空気浄化機能をもったエアコンの吸込口に張り付けるタイプのフィルター「エアークエストグリーン」といった越境ECでは未販売の商品や付属品などを組み合わせたセットものを含めて30商品程度まで増やす。また、商品の使い方、組み立て方法などを説明する動画を商品ページに掲載したり、ECモール内および外部のSNS上での広告出稿を含めた販促活動をしっかりと行ったりすることで、現在、Shopee経由で展開しているシンガポールをはじめとする各国で売り上げを伸ばしていきたい。その上でタイ、インドネシアといった国にもShopee経由で出店し、東南アジアでの販売を強化していく。

売れ筋

エアーウィングi-Kit
【日本】
1980円(税込)
【シンガポール】
14.99 (シンガポールドル)
【台湾】
399 (台湾元)
【マレーシア】
94.99 (リンギット)

エアーウィングkazeyoke
【日本】
2530円(税込)
【シンガポール】
25 (シンガポールドル)
【台湾】
799 (台湾元)
【マレーシア】
116.99(リンギット)


エアーウィングPRO
【日本】
4235円(税込)
【シンガポール】
59.80(シンガポールドル)
【台湾】
1480 (台湾元)
【マレーシア】
179.99(リンギット)

本事例からの学び

1.越境ECでは「日本の常識」が弱みにも強みにもなります。当社のケースで言えば、例えば、日本ではエアコンのタイプとして業務用、家庭用というのは一般的ですが、米国ではそうした区分ははっきりとはなく、国によっては床や壁に埋め込むタイプのエアコンが主流であることも。そうした事情を考慮せずに国内と同じような商品の区分、紹介をしてしまうと現地の消費者には伝わらないこともあります。また、ECモール内のルールとして商品画像ひとつとっても、守るべきガイドラインがあり、それに外れた場合には商品検索に表示されないなどのデメリットがあります。そうした常識・ルールを知らないまま、事業を展開しても売れ行きは伸びません。
 一方で、当社の商品に関するShopee上の顧客レビューを見ると「品質が高い」「配送が早い」「問い合わせへのレスポンスが早い」というものが多く、高い評価のレビューを参考に購入に踏み切る顧客も少なくないようです。良い商品を作る、すぐに配送する、問い合わせには迅速に対応する、などは当たり前のことですが、海外の場合は大きな強みになることもあります。

2.商品の説明は伝わりやすいことが基本です。言語によっては日本語での説明を直訳するだけでは、分かりにくくなり、ニュアンスが上手く伝わらないこともあります。当社では細かく修正をしながら、現地の方々にとって分かりやすい商品説明になるよう改善していったことで売り上げが伸びていきました。地道な改善が越境ECの売り上げ拡大の一歩です。

3. 越境EC成功のカギの1つはECモール選びです。ECモールによって出店後のサポートには濃淡も。その国のことに精通した担当者が販売戦略について、段階別に合わせて個別、またはオンラインセミナーなどで頻繁に相談に乗ってくれるところもあれば、そうでないところもあります。越境ECに詳しくない事業者はサポートの手厚いECモールを選んでみるのも手かもしれません。
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