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事例集

「幻のひじき」など離島の特色ある食材が人気商品に

企業名:
株式会社おおいた姫島
代表者:
小岩直和
事業内容:
農水産物の生産、加工、販売及び貿易業など
Web サイト:
https://oita-himeshima.jp

会社概要

所在地:大分県東国東郡姫島村
資本金:2000万円
従業員:12人
EC経験:8年
売上高(2020年):1億円
自社ECサイト:https://delikacy.jp
ECモール:47CLUB https://www.47club.jp/44M-000088nwd

ECに取り組んだきっかけ

家業である造船業は時代の流れから継げる状況ではなく、何か物売りをしたいと考えていた。生まれ育った姫島にはいろいろな特産品があるものの、あまり「島の商材で商売をしよう」という人がいなかった。そこで島の特産品であるひじきやクルマエビを売ろうと「ECを始めてみよう」と思ったものの、知識はほとんどない。そんなとき、2013年に地元の新聞社から47CLUBを紹介され、出店することを決めた。

ECを始めた当初課題と考えていたこと

とにかく全く商品が売れないのが衝撃的だった。商品をページに載せても売れないし、そもそも売るために何をすればいいのかが分からない状態だった。転機になったのは、出店から1年が経過した頃に、東京で開催された、47CLUB主催の出店者向けセミナーに参加したことだ。消費者を呼び込むためには、バナー広告を出したり、キャンペーンを行ったり、メールマガジンを発行したりといった施策が重要であることが分かった。また、東京などで百貨店の催事に出店することで、知名度を少しずつ上げていった。

ECの取り組み状況

○主な商品名
・姫島の食材

○ターゲット
60代以上をターゲットとしている

○プロモーション方法
メールマガジンは時代の流れもあり、効果が落ちているのは事実だが、3000人に配信しており、まだまだ反応は悪くない。メールマガジンの開封率は50%程度となっている。また、百貨店の催事でLINE公式アカウントの会員を集めており、1700人ほどに達した。運営する「デリ河岸」という生産者から産直食品を購入できる通販サイトと連携している。

○運営体制
EC専任の従業員は置いていない

EC事業開始から現在までの歩み

ECを始めたのは2013年だが、転機は「姫島ひじき」を「幻の2日ひじき」に変更してから。当初、姫島の特産品のひじきを「姫島ひじき」として販売していたが、姫島を知らない人からの反応があまり良くなかった。
ECモールの勉強会で「姫島のひじきは1年に2日間だけの漁期に柔らかな新芽のみを摘み、天日干しで仕上げたものであること」を説明したところ、助言をいただき、『幻の2日ひじき』と名付けて販売を開始した。市販されているひじきは、「春ひじき」といって、3月~4月に採取するもの。姫島で採れるひじきの場合、2日しか収穫できないという希少性とともに、通常のひじきに比べて、柔らかくシャキシャキとした歯ごたえがあるという良さがある。こうした特徴が新聞の紙面でも紹介され、「幻の2日ひじき」が売れるようになった。2015年に「第1回日本ギフト大賞」を受賞した。コンビニエンスストアで「幻の2日ひじき」を使った惣菜が販売され、知名度が向上。ヒット商品が生まれたことで、ECの売り上げが伸びていった。

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ECでの工夫や自社の強みと考えていること、今後の展望など

〇ECでの工夫
安易に安売りをせず、消費者が価値を感じられる商品を売ること。もちろん価格が高ければいいわけではないし、逆に安売りをしたら売れるというものでもない。安易に安売りをせず、消費者が価値を感じられる商品を売っている。もちろん価格が高ければいいわけではないし、逆に安売りをしたら売れるというものでもない。一つひとつの商品に、しっかりと向き合っていくことが大事と考えている。
また、リピーターをどれだけ獲得できるかも重要であるため、百貨店の催事やECサイトにおいて、商品に対する思いをどれだけ伝えられるかを考えて販売している。

〇自社の強み
「島」という消費者に響きやすいキーワードでアピールできること。大手がカバーできない領域なので、そこをもっとブラッシュアップしていきたい。まだまだマーケティングがうまくいっていないので、もっと伸ばせる余地はある。

〇今後の展望
SNSでしっかりと宣伝していきたい。ユーチューブと連動させる形で、動画やライブ中継を使い、島の良いところの紹介や生産者を紹介していくことで、ファンを増やしていく。また、「姫島には良いものがたくさんある」ということをアピールし続けることで、メディアに取り上げられる機会も増え、「姫島の商品を買ってみよう」と思う人がもっと増えるのではないかと考えている。消費者が姫島の商品を買うための「動機」を作っていきたい。
そして、姫島だけではなく、日本中の離島に特化したECサイトの構築も計画している。現在、いろいろな島を回っており、賛同してくれる人たちと一緒にECに取り組むとともに、最終的には観光振興にもつなげられれば良いと思っている。人口減少やそれに伴う産業の衰退があり、離島で稼ぐのは難しくなっているが、1次生産者がECを使ってしっかりと稼げるようにしていきたい。

売れ筋

「幻の2日ひじき」
972円(税込)

「車海老かりんとう」
486円(税込)

「冷やし蛸の唐揚げ」
864円(税込)

本事例からの学び

1.ECにおいてもやはり商品戦略は最重要です。特徴のある商品を販売し、その特徴を消費者にアピールするようにしましょう。ヒット商品である「幻の2日ひじき」は、姫島で1年のうち2日しか収穫できないという希少性とともに、通常のひじきに比べて、柔らかくシャキシャキとした歯ごたえがあるという特徴があります。これらの特徴を「姫島ひじき」という名前では、消費者にうまく伝えられず、伸び悩んでおりましたが、「幻の2日ひじき」としたことで、「年に2日しか採取できない」という希少性がダイレクトに伝わるようになりました。


2.商材にもよりますが、実店舗のイベントを活用してみるのも良いでしょう。おおいた姫島の場合、百貨店の催事を活用することで知名度を上げるとともに、LINE公式アカウントと連携させることで、ECサイトへの誘導を行っています。コロナ禍が落ち着いたタイミングで検討してみるもの良いのではないでしょうか。


3.離島をはじめ、人口減少や産業衰退に悩む地域は多いはずです。農業や漁業といった1次生産者も、「儲からない」がために廃業するケースが跡を絶ちません。ECを活用し、他の地域の消費者を相手に商売することを検討してみてはいかがでしょうか。きっと「尖った商品」があるはずです。何も知らないところから始めるのは大変なので、同社のようにECモールに出店し、ECモールが主催するセミナーに参加してECの「基本」を覚えるのも一つの手です。
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