本文へ移動

ebiz 中小企業のためのEC活用支援
ポータルサイト【ebiz】

ここから本文です
事例集

直接仕入れの商品力とギフト対応強化でリピート顧客を獲得

企業名:
株式会社かねきち
代表者:
谷口 勝
事業内容:
食肉の卸売業及び小売業、食肉の加工及び加工品の販売業、食品・食材のインターネットによる通信販売業、飲食店業
Web サイト:
https://www.29-kanekichi.com/

会社概要

所在地:滋賀県湖南市岩根363-19
資本金:900万円
従業員:6人(精肉販売店のアルバイト従業員を含む)
EC経験:2005年に自社通販サイトを開設した。2010年に47CLUBに出店した後、2018年にAmazon、2019年にYahoo!ショッピングに出店した。
売上高:7000~8000万円(2021年6月期)
出店モールでの実績:自社通販サイトと47CLUBが売り上げの柱。メールマガジン購読者数は1万5000~6000人。47CLUB「2020年年間総合ランキング」1位など、受賞歴多数。
自社ECサイト:https://www.29-kanekichi.com/
ECモール:
 47CLUB
 Yahoo!ショッピング
 Amazonマーケットプレイス

ECに取り組んだきっかけ

近江牛を専門に取り扱う実店舗「かねきち」を運営。近隣に大型店が出店したことによる競合増加と、中元・歳暮を中心とした贈答品の需要減少の影響を受け、店頭販売の売り上げも落ち込んでいた。滋賀県内で近江牛を扱う競合店舗は既にECを行っていたことなどから新規販路としての可能性を模索するために2005年に自社通販サイトを開設した。自社で直接仕入れている近江牛のすき焼きや焼き肉、ステーキといった精肉の販売を通じて、誕生日や記念日といった“ハレの日”における自家需要と、ギフト需要によるリピート購入の獲得を目指した。

ECを始めた当初課題と考えていたこと

開設当初は集客できなかった。顧客から見たときの魅力的な商品ページの作り方や広告の出稿などのノウハウがなく、ターゲットや強みとなる商品などの分析ができていなかった。一時はECでの売り上げ拡大はあきらめかけていたが、47CLUBのセミナーに参加したことをきっかけに、商品ページの改修や広告出稿の方法などを学び実践したことで、軌道に乗り始めた。

ECの取り組み状況

○主な商品名
・近江牛特選和風とろ生ローストビーフ(トロ赤身合計250gセット)
・近江牛霜降り すき焼きしゃぶしゃぶ(500g)
・近江牛 プレミアムハンバーグ1個180gソース付き

○メインの出店先
自社サイト、47CLUB

○ターゲット
中元や歳暮などのギフトのほか、記念日や誕生日、自分へのご褒美などの“ハレの日”における利用をする30~60代の男女。

○プロモーション方法
中元・歳暮のタイミングを中心に、47CLUBのトップページや特集ページ、おとりよせネットの特集ページにバナー広告を出稿している。中元・歳暮は広告の単価が高いものの、クリック数が多いため費用対効果は良い。FacebookやInstagramで公式アカウントを運用し、商品の受賞履歴や企画を紹介する投稿を行い集客している。

○運営体制
受注:1名(専属)
出荷・梱包:2名

EC事業開始から現在までの歩み

当初は集客力がなく売り上げが伸びず諦めていたが、2010年に47CLUBに出店し、セミナーを通じてECの販売ノウハウを取得した。まず、ターゲットや自社の強みなどを分析することから始め、広告で露出を増やして、商品の売れ行きを見ながら商品ページを改修するといったPDCAサイクルを繰り返し、地道な改善を行った。47CLUBが推奨する新聞広告企画に5~6回にわたって出稿し続けた。2013年頃に47CLUBの担当者のアドバイスを受けて、ローストビーフやハンバーグを訴求すると、「貰っておいしかったから購入しました」「自分で購入しておいしかったのでギフト利用しました」など顧客満足度の高いレビューが増えた。認知度が高まり、47CLUBのランキングに入ったことで売れ筋商品に成長。テレビ番組や雑誌などのメディアで紹介されるようになり、実店舗や飲食店の来店客も増えた。

ECサイト

トップページ



商品ページ


 

ECでの工夫や自社の強みと考えていること、今後の展望など

〇ECでの工夫
・自社メールマガジン「店長の嫁 おうみぎゅう通信」を毎月2回発行し、顧客との親近感を高めている。実際に店長の妻がメールマガジンを執筆し、家族のことや季節のイベントを紹介しながら、商品の訴求を行っている。例えば、我が子の入学を報告しながら近江牛でのお祝いや、寒くなる時期に合わせてしゃぶしゃぶなどの鍋メニューを提案するといった内容。メールマガジンは1万5000~6000人が購読し、共感を得ている。

・実店舗を運営しながらECを展開しているため、実店舗の来店客が少ない時間帯に梱包や出荷などの作業を行っている。受注から発送までの作業を短時間で完了できるように、前もって自社を紹介するリーフレットや近江牛認定書、食べ方を案内するチラシの組み合わせたセットを作り、段ボールの組み立てを行っている。これにより、配達指定日がなければ受注後、最短当日に出荷できる体制に整えている。「注文が前日のお昼頃だったので翌日の誕生日当日には間に合わないと諦めていたが、間に合った」、「誕生日のお祝いで利用した。注文翌日に発送してもらえた」など高評価レビューにつながっている。

・ギフト需要が多いことから、商品の価格が分かるリーフレットやチラシ、注文の明細書は同梱していない。同梱するチラシやリーフレットに金額が書いていないか、注文の明細書は同梱するかといった顧客の問い合わせが多かったことを受けて対応しており、ECサイトのトップページや贈答用商品の商品ページで説明している。金額のわかるものを先方に送りたくないという顧客の不安を解消でき、誕生日や記念日のお祝い、家族や友人などへのプレゼントなどのギフト利用につながっている。「自分で購入しておいしかったから大事な人に贈りたい」としてリピート購入につながっている。

〇自社の強み
職人による目利きで食肉市場から直接、近江牛の枝肉を仕入れている商品力が強み。冷蔵設備のある自社トラックで運搬し、店舗内で解体や切り分け、スライスまでを極力短時間で行うことで徹底した品質管理を行っている。職人の目利きと品質管理に裏付けされた食味が評価され、多くのテレビや雑誌などのメディアで紹介されたほか、47CLUBの「2020年年間総合ランキング第1位」や、おとりよせネットでの「2014年、2019年のベストお取り寄せ大賞」、「2015年、2017年、2019年日本ギフト大賞滋賀賞」を受賞している。

〇今後の展望
リピート顧客が多いので、購入者の満足度の向上に注力したい。スタッフが限られているため、顧客数を増やして売り上げを急激に伸ばすことは考えていないが、リピート顧客のための施策は考えていく。「肉の日」とされている毎月29日の付近にたれなどをプレゼントするキャンペーンは以前行っていたが最近はできていなかったので再開したい。また、組み合わせを工夫した新商品の提案などラインアップを増やすことを検討したい。

売れ筋

近江牛特選和風とろ生ローストビーフ(トロ赤身合計250gセット)
4980円(税込)

近江牛霜降り すき焼きしゃぶしゃぶ(500g)
9000円(税込)

近江牛 プレミアムハンバーグ1個180gソース付
1個1400円(税込)
4個5400円(税込)

本事例からの学び

1.ギフト需要に対応する場合は、商品の購入者と実際の利用者が異なるため、さまざまな配慮が必要になります。特に、ギフト利用の顧客にとって、商品価格は送り先に最も知られたくないことの一つでしょう。あらかじめ価格がわかるものを同梱しない仕組みとすることで顧客は安心して利用できます。また、事業者にとっては、作業負担の軽減につながります。利用目的など顧客を知ってサービスに生かすことができれば、顧客との信頼関係の構築にも寄与するでしょう。

2.実店舗とECを展開する事業者にとって、人手不足となってしまうケースは少なくないでしょう。実店舗での作業は接客や仕入れのほか品出し、売り上げ管理など多岐にわたります。ECでは受注や商品ページの管理、顧客対応のほか、発送業務などさまざまです。煩雑な作業を行いながら実店舗とECの両立を図るには、業務を効率化することが必要です。空いた時間に段ボールの組み立てを行うなど、コストをかけずにできる工夫も有効です。作業の効率化によってスムーズな運営を実現し、商品発送のリードタイムを短縮できれば、すぐに欲しいという顧客ニーズを満たすことにもつながるでしょう。

3.通販サイトを開設後、集客方法が問題となる事業者は多いです。一般的に、魅力的な商品のラインアップを増やしてシズル感のある写真で訴求することが必要とされますが、広告出稿やSNS投稿などで露出を増やして販売動向を見ながら商品ページの改修を繰り返し行うことが集客力アップの近道です。あわせて、メールマガジンでファンを育成し、獲得した顧客を囲い込むことも不可欠です。リピート顧客の増加が収益の向上につながります。
ECポケットガイドのバナーを閉じる
ECポケットガイドを開く