事例集

「京都の四季」を世界中に広めるために海外展開を実施(平成27年度中小企業越境ECマーケティング支援事業)

企業名:
有限会社フラワーハウスおむろ
代表者:
島本 壮樹
事業内容:
盆栽、花卉の販売
Web サイト:
http://kyoto-omuro.jp

企業紹介

・所在地:京都府
・資本金:500万円
・従業員:3名

  (取材日:2019/5/16)

(公開日:2019/10/11)

越境ECに取り組んだきっかけ

先代から60年以上続く家業を引き継ぐため、外資系消費財メーカーを退職して戻ってきたときに、改めて「京都の四季」の素晴らしさに気づき、世界中に広めたいと思ったのが海外展開のきっかけ。また、対面販売、実店舗での販売にあたり、外国人観光客の反応が良く、花見シーズン・紅葉シーズンには多くの観光客で賑わう京都で花屋を営む中で「京都の四季を京都でしか味わえないのはもったいない」、「自分の国に持って帰りたい」というお声が年々強くなったことが越境ECを始めようと思ったきっかけになった。

 

海外で想定される強み

販売面と物流面の2点に海外での強みがある。

販売面では、シンガポール政府機関という大手顧客との取引を強みとして、日系高級百貨店における優良顧客向けの販売に集中していることが強み。

物流面では自社で在庫を保管しながら、JETRO、検疫所、国際フォワーダーと連携しながら輸出検疫から現地の通関・配送までの一貫輸送体制を確立していることが強み。

 

自社のリアルでの強み

創業60年以上かけて築き上げた産地とのコネクションがあり、競合より高品質な盆栽を仕入れることができることが第一の強みである。いったん仕入れた盆栽は、自社の農園に植え替えて、販売用の写真撮影やその後の輸出検疫に備えて、万全の管理体制を自社で運営していることが第二の強みである。

 

越境ECの計画(補助事業申請時)・実績

【計画】

<海外経験>

<取扱商品>

京都小鉢・京桜・京紅葉・ミニ盆栽・樹木

<主なターゲット国

シンガポール

<ターゲット>

‐現地の富裕者層及び日本人駐在員等

‐現地の生花取り扱い業者及びホテル、日本食レストラン等

<出店サイト>

独自ドメイン

<プロモーション方法>(代理店の有無:有)

‐Google Adwords(リスティング広告)

‐Facebook(商品情報、キャンペーン、特集情報の提供等)

<運営体制>

サイト運営:自社1名(兼務)、アウトソーシング

商品管理:自社1名(兼務)、アウトソーシング

顧客対応:自社1名(兼務)、アウトソーシング ‐電話、メール対応

<発送方法>

直送モデル(サービス名:EMS)

 

【実績】

<出店サイト>

URL:

http://kyoto-omuro.com

<出店開始>

2016年12月

 

越境ECの課題・対策

<越境EC出店時>

盆栽は、「販路開拓」と「物流」という大きな課題があり、同業他社の多くがこの課題をクリアできず海外展開を断念している。そこで当該企業は、越境EC出店に際して、

・展開国はシンガポールに限定し商品も収益率の高い盆栽に限定する

・販路はまずはシンガポール政府に絞り、販売は実物を見てもらい、社長自らが売り場に立つという手法をとる

・販売店をタカシマヤ(SIN)に限定するなど、ブランド力の維持に努める

・通関の難しいといわれる植物検疫を自力でクリアし、割安な運賃を日新航空から得るなど、国際物流全体のフローを磨く

といった戦略で出店をしている。これは、越境ECにおいて、

①国を絞る

②商品を絞る

③集客と販売の戦略をネットとリアルで分けて行う

④物流を磨く

⑤ブランド力を維持する

という基本に合致していて、この地道な出店計画が「盆栽」という難しい商材においての成功につながっていると思われる。

当該企業にはシンガポール以外の周辺国からの引き合いが続いているようだが、そういった国へ展開するか、さらにシンガポール内で需要を深堀していくかが今後の課題である。現状、代表者としては、盆栽関連商品や京都ブランド商品などを投入することで、シンガポールでの優位性を強めていきたいという考えのようだが、周辺国へ展開していくには、シンガポールでの販売とは異なる物流体制も必要だと思われる。

 

<越境EC運営時>

ECサイトの運営については、日本側は社長1人、現地2名の態勢で、盆栽の育成、注文管理、出荷、販売、メンテナンス、配送を行っている。

日本側の運営については、人材の採用や育成が難しいようで、社長一人にすべての業務がかかっている点が課題である。ただ、業務のアウトソーシングについては専門知識や熟練が必要な項目が多く簡単ではないため、当面は人材の育成に注力する。

 

今後の越境ECの方針

現在、すでに200名以上の優良な顧客リストを保持し、シンガポール国内では圧倒的な優位を保持できている。今後の方針は「盆栽以外の商品の販売」と「シンガポール以外の国への展開」の2点である。

「盆栽以外の商品の販売」については、京都というブランドを生かした商品(酒、数珠、お香、胡蝶蘭、西陣織製品、着物など)の展開を企画し、すでに京都での販売、販促活動を開始しており、今後も継続していく。

「シンガポール以外の国への展開」については、口コミをベースにして、シンガポールから近い、マレーシア、タイ、ベトナムへの展開を検討しているが、今のところ価格面や配送面の課題に直面している。

そこで高価格帯商品にこだわらず、エントリーモデルとして安価な盆栽育成キットやその他の商品の投入も開始したが、まだ十分な成果が上がっておらず、今後対策を講じていきたい。

 

専門家:中川泰

 


平成27年度中小企業越境ECマーケティング支援事業とは

環太平洋パートナーシップ協定交渉参加国を主たる対象として新たに越境ECサイトを出店または構築する中小企業者に対して、「越境ECサイト出店・制作費用(越境ECサイト出店初期費用、越境ECサイト制作費、翻訳費、コンテンツ制作費)や越境ECサイトプロモーション費用の補助」、「越境EC専門家によるアドバイス」、「現地テストマーケティング(シンガポール、米国(ニューヨーク))、イベントの開催」などのサービスを提供しました。