鎌倉家
~EC活用で販売機会の損失を防ぐ~

鎌倉家
差別化オリジナル商品
集客口コミ、実店舗
ターゲット(なし)
特徴オリジナル商品
実店舗あり(1店舗)
出店タイプ独自ドメイン

バブル崩壊後の不況から店舗販売を決意

鎌倉頭巾(ずきん)を扱う「鎌倉家」を立ち上げたのは、長谷川 敬一・信子夫妻である。もともと、夫の敬一氏はステンドグラスの工芸家として、妻の信子さんは服飾デザイナーとして、自分たちで制作した商品を百貨店の催事等で出店販売していた。信子さんがデザインするエスニックな衣料は、リピーターが付く人気で、タイやインドネシアなど海外現地で委託生産し、日本国内で販売してきた。

2000年頃、バブル崩壊の影響から、主力販売ルートである百貨店の客足が悪くなり、二人の商売も売上が減少するようになる。円安が進み、海外での生産も、従来ほど利益が出なくなってきた。そこで信子さんは、これまでのエスニックなデザインの衣料を減らし、価格帯の高い和装の反物や着物をリメイクした衣料・服飾品の制作に徐々にシフトさせていった。また、海外への製造委託をやめ、事務所周辺に住む主婦の内職による、国内生産に切り変えた。

新しいオリジナル商品のサンプルの中に帽子があった。この帽子は、もとは信子さんが、埃よけの三角巾がわりに、自分のために試作した帽子だったが、和洋折衷のデザインで、かぶり方によって洋風のベレー帽のようにも、頭に手ぬぐいを巻いたようにもなる。年配者にも、若い世代にも似合う、他に見かけない商品だった。それを見た敬一氏は、「この帽子は売れる。」と直感が働き、小売店舗を持って、直接販売していくことを決めた。


「鎌倉家」と「鎌倉頭巾」の誕生

2005年、敬一氏は、知り合いから紹介されたJR鎌倉駅近くの物件を契約し、直営店「小町画廊」を開店する。当初は、百貨店での催事販売の時と同様、ステンドグラスの工芸品や衣料・服飾品を販売していたが、その中で最も良く売れる商品は、敬一氏の予想通り、着物地の帽子だった。そこで敬一氏は、この帽子を核とした店舗づくりの検討を始める。

まずは、鎌倉に集まる観光客向けに、土地のイメージに合う『和』や『武士』をテーマにした商品アイテムや観光土産になる手頃な価格帯を検討した。そして店舗名称を「鎌倉家」に変更し、帽子は「鎌倉頭巾」と名付けた。“ずきん”は、若い世代にはレトロ感があり、商品名を印象付けるだろうと考えた。また、手頃な価格にするために、素材を着物地から木綿プリント布に変更した。頭巾のサイズは、子供用と大人用の大小2種を揃え、布地の絵柄は、伝統的な「麻の葉」「唐草」文様などを選び、共生地(ともきじ)でバッグやアロハシャツも追加した。店舗では、内装や什器にもこだわり、商品は100%オリジナル商品を揃えた。


自社サイトの必要性の実感と一人の男性客との出会い

改良した「鎌倉頭巾」の評判は上々で、「鎌倉家」の来店客数は増加した。男性向けの色合いが濃い商品だが、成人女性の日常のおしゃれアイテムとしての購入も多かった。また、抗がん剤治療等で頭髪に後遺症のある方へのお見舞い品として購入されたり、海外の和食レストランの制服の一部として使われる等、思いがけない需要もあった。

一方、来店客が増えると、ホームページの有無や通販についての質問を受けるようになった。営業日や新商品に関する問い合わせも多く、自社サイトの必要性を感じた。しかし、ホームページを作るにも、どう進めればよいか、誰に相談すればよいか、皆目わからず、想いを抱えたまま、月日が過ぎていった。

そんな中、一人の男性客との出会いが門戸を開く。その男性は、鎌倉頭巾のリピーターだったが、ECサイトを開設したら多くの人が「鎌倉頭巾」を購入しやすくなると、熱心にサイトの開設を勧めてきた。これまでにも幾度となく、他の大手EC事業者から鎌倉家のホームページを作らないかという誘いを受けていたものの、なかなか踏み切れないでいた敬一氏だったが、この男性と話すうちに、信頼感が芽生え、心が動いた。そして、2012年3月、この専門知識を持つ男性の力を借りて、「鎌倉家」の自社サイトを作ることを決意する。


テレビ効果とEC開設で販売量は10倍に

そこからは早かった。男性は、敬一氏や信子さんのイメージを聴き取り、既製のASPサービス(アプリケーションサービスプロバイダ)を使用して、極めて短期間にサイトを完成させた。写真を多用して商品イメージが伝わるよう工夫したり、購入したお客さんの声や、Q&Aを掲載したりと、シンプルながらも、必要な機能を備えたサイトを構築した。そして、2012年4月、ついに「鎌倉家」のECサイトがオープンした。

売り上げへの効果はてきめんだった。サイト開設の数週間前に、在京テレビ局の情報番組で、この鎌倉頭巾が取り上げられていたこともあり、「鎌倉家」ECサイトには連日注文が相次いだ。敬一氏は当時を振り返り、「爆発的に注文が増え、販売が間に合わなくなったり、問い合わせへの対応が難しくなった時に、自社サイトが役に立った。店頭で品切れになっても、お店を開いていない時期でも、このサイトのおかげで、お客さんを逃がさずに済んだ」と述懐する。ECサイト立ち上げ後、約3か月間で「鎌倉頭巾」は、店舗とECを合わせて前年同期比の約10倍の数量を販売した。


「鎌倉頭巾」で「三方よし」を目指す

一時期の爆発的なブームは落ち着いたが、「鎌倉頭巾」は今もECサイトから、継続的に注文が入ってきている。敬一氏は、「IT導入により、客層が広がり、顧客の行動や要望が以前よりわかりやすくなった」と話す。「鎌倉家」の店舗での接客と同様に、ECサイト等に寄せられる顧客からのEメールや礼状は、商品の改善や顧客ニーズを探る参考にもなっている。「鎌倉頭巾」が洗濯可能な仕様に改善されたのも、顧客からの声がきっかけだった。

ネットで注文が入ると、1つ1つ手作業で商品発送の梱包をしている。現在は年間1万枚程度の生産能力であるが、将来的には年間10万枚の生産を目指している。2012年には模倣品のリスクに備え、「鎌倉頭巾」の意匠登録を行った。そして今、法人化の準備も進めている。「『鎌倉頭巾』が私たちを色々な人に結び付けてくれている。お客様の喜ぶ顔を見るのが一番嬉しい。『鎌倉頭巾』で、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の『三方よし』を実現できたら幸せです。」長谷川夫妻の夢は広がる。

企業概要

運営会社:晴月舎
代表者:長谷川敬一
住所:(工房)長野県諏訪郡原村17217-2097
業種:製造・小売業
取扱商品:和風デザインの帽子・衣料・服飾・雑貨
主力商品:ホームページ連動型の独自ドメイン

代表者:長谷川敬一