きのとや
~より多くのお客様にきのとや商品を届けるためにECを活用~

きのとや
キーワード商品力、地域密着
差別化商品力、地域密着
集客facebook、Twitter、メルマガ
ターゲット30~40代の女性
特徴生ケーキのネット販売、JIT方式
実店舗あり(北海道内10店舗)
出店タイプ独自ドメイン

きのとやの創業からケーキ宅配サービスのきっかけ

株式会社きのとやは、北海道札幌市内を中心に、道内に10店舗を構える洋菓子製造・販売店である。初代社長であり、現在は代表取締役会長を務める長沼昭夫氏が、昭和58年(1983年)に東札幌で創業した。当初は、喫茶店と洋生菓子の仕入れ販売を手掛けていたが、無名かつ立地的な不便さもあり、なかなか客が入らず苦戦する。ケーキを仕入れても、売れ残り、仕方なく廃棄することも多かった。どうすれば客がケーキを買ってくれるかを考える日々。創業から約1年後、長沼氏は、毎年誰にも訪れる誕生日のケーキをお店で作り、それを客の自宅まで届ける宅配サービスを思いつく。当時、他の業種では宅配を手掛ける企業もあったが、洋菓子店で、さらに生ケーキを自宅まで届けるサービスをしているところは、全国をみても例がなかった。宅配サービスは、一度だけなら誰にでもできるが、成功させるためには、一定量のお客様にずっと継続的に買い続けてもらわないといけない。例えば、今日の配達が50件、明日は3件、2日後は50件では、事業として成り立たない。その点、バースデーケーキは、毎年同じ日にやってくるため、客も計画的に予約を入れることができる。長沼氏はそこに目を付け、バースデーケーキ専用のパンフレットを作り、試食用のケーキを持って、営業に回った。注文が入れば、片道1時間かかるような交通の不便なところへも、ピカピカに磨いたロゴ入り商用車で、紺のスーツに蝶ネクタイ姿の営業マンがケーキを届けた。こうした努力が実を結び、きのとやは徐々に客を掴んでいった。そして、バースデーケーキを食べた人たちが、今度は日常的にも、ケーキを買いにお店に足を運ぶようになり、次第に北海道を代表する洋菓子店へと成長していく。


より多くのお客様に商品を届けるためにネットショップを開設

順調に業績が伸び、店舗数も増えていく中で、ある人から「ECサイトを使えばもっと売れる。売上を今よりも何十倍かにするので、成功報酬型契約で新しいネットショップを立ち上げないか」と提案を受ける。その時すでに、ホームページは開設していたが、そこで売り上げをあげることはあまり考えておらず、正直当時はあまり力を入れていなかった。しかし、より多くの客にきのとやの商品を届けるため、ホームページのリニューアルとネットショップの立ち上げを決意する。

まず手始めとして、ホームページの見せ方を変えた。そして検索する用語でのヒット率を高めるため、SEO対策を施した。もともと宅配事業に取り組んでいたこともあり、ECサイト立ち上げのための注文システムは、既存の注文システムを改修して使うことができた。一方、どんな商品だったらネットで売れるのか、配送可能な商品は何か、送料や梱包の仕方はどうすれば良いのか、運送会社はどこにするか、注文から配送までの期間としてどのくらいを見込み、いつを注文の〆切日にすれば良いのかなど、ネットショップならではの検討事項があることにも気づいた。

宅配事業では札幌近郊エリアを対象としていたが、ネットショップ開設後は、生菓子を除き、全国エリアへと対象を拡げた。当時、お土産品の販促に力を入れ始めた時期とも重なり、全国の百貨店で開催される北海道物産展に出店しては、そこで商品を購入してくれた客に、きのとやネットショップのサイトアドレスが書かれたパンフレットを配布した。

こうして、道外での知名度が上がるとともに、ホームページを通じた売り上げは、それまで500万~600万円くらいであったものが、EC開設後は数千万円へと跳ね上がっていった。


専任スタッフの配置とネットショップ開設後のリアル店舗への効果

現在、ネットショップの担当者は社内スタッフを1名置いている。立ち上げ当初は、兼務の担当者がいるのみで、ほとんどを外部業者に任せていたが、社内にノウハウが残らないことから、2年ほど前に専任で配置した。担当者は、元々ECに関する特別な知識があったわけではないが、本やネットの記事などを参考にしながら独学で勉強した。サイトのカスタマイズ自体は今でも外部業者に依頼しているが、社内から随時あがってくる要望をまとめたり、日々のサイト更新やfacebook、Twitter等での発信、メルマガの発行やアクセス解析などを一手に引き受けている。

ネットショップを開設してから、実店舗での販売にも変化が起きている。例えば、クリスマスケーキの予約などは、それまで電話による注文が多かったが、徐々にサイトからの申し込みが増え、今シーズンは前年よりも1.25倍くらい増加した。また、実店舗に来る前に、サイトを見てから来店する客が増え、商品パンフレットの刷数を減らす効果もあった。


きのとやのものづくりと社是

きのとやでは、ケーキを作る際に、Just In Time(JIT)方式を取り入れている。「必要な時に、必要なものを、必要なだけ」作っており、在庫を持たない。各店舗からのオーダーは基本1日に1回だが、工場では一度にすべてを作らず、1日5~6便に分けて製造し、店舗へ届けている。例えば、1日100個のオーダーが入ったら、普通だったら一度にまとめて100個作るが、きのとやでは10個ずつを10回に分けて作る。それはなぜか。まとめて100個作ったら、オープン前からケーキを100個置いておくことになるわけで、店を開けている時間、ずっとそれを売り続けることになる。しかし、食べ物は作りたてが美味しい。買いに来てくれた客に、いつでも美味しいケーキを提供するため、そこにかかる手間は惜しまない。原料にもとことんこだわる。規模が大きい店舗では、キッチンを併設し、そこでケーキを焼き上げ、デコレートすることで、客の急な注文にも対応している。

きのとやの社是は「いい会社を作りましょう」である。ここで言う「いい会社」とは、「社員の幸福」「お客様の満足」「会社の発展」を同時に達成することのできる会社であり、働く社員が成長できる会社である。実際、きのとやでは、従業員(パートを含む)の誕生月に特別休暇やケーキ券を進呈したり、社員が勉強のために他の店を見に行きたいと言えば、国内・海外問わず、旅費の半分を支給するという制度を設けるなど、社員をとても大切にしている。社員が誇りを持ち、家族や友達に自慢できる会社であり続けることが、客への温かいおもてなしにつながると信じている。今後も、今以上に高品質・高サービスに磨きをかけ、客に美味しいケーキと非日常の空間を提供していきたいと考えている。

企業概要

運営会社:株式会社きのとや
代表者:代表取締役社長 佐藤 誠 氏
EC担当者:商品企画室 大野 信裕 氏
住所:北海道札幌市東区東苗穂5条3丁目7-36
業種:製造小売業
取扱商品:洋菓子
主力商品:洋菓子

きのとや
佐藤社長(左)とEC担当者の大野氏(右)