SAKELIFE(サケライフ)
~老舗のおもてなしをネット上で再現~

SAKELIFE
キーワードキュレーション
差別化接客サービス、日本酒の定期購入サービス
集客イベント、メルマガ
ターゲット20代~30代のお酒をあまり飲まない若者
特徴好みに合わせて商品パターンをきめ細かく変更、継続率95%
実店舗あり
出店タイプ独自ドメイン

1.室町時代から続く老舗酒店

屋号の油忠は、祖先の油屋忠兵衛氏の名前に由来する。もともと油を扱っていたが、江戸時代に入って酒も売るようになり、やがて酒だけが残った。お店は、JR成田線の小見川駅から徒歩10分くらいの、知らない人ではなかなかたどりつけないような場所にある。この小見川地区は、今でこそ香取市に統合されているが、廃藩置県の直後は小見川県の県庁所在地にもなっていた場所で、利根川を経由して江戸に向かう水運業の中継地点となっていた時代には、門前町として栄えていた。周囲には造り酒屋も5軒あったが、時代の変化の中で、今では商店の数も減ってしまっている。

その油忠の25代目の当主となるのが、2014年に弱冠28歳の若さでお店を継いだ、高橋社長である。高橋社長には一回り歳の離れた兄がいたため、大学3年までは店を継ぐことは全く考えてもいなかったという。ところが、杜氏の仕事に興味を持って杜氏協会に入った兄は、“造り”の仕事に専念してしまうことになった。急遽白羽の矢が立った高橋社長は悩み抜いた末に、継ぐことを決意。正直、お店の将来に不安はあったが、自分が継がなかったら、500年を超える歴史が終わってしまうということに、初めて使命感を感じた。結局、先代である父に頼み込み、2年間の充電期間を経て、2011年に家業に入った。

小規模酒販店を取り巻く環境は、規制緩和でスーパーやコンビニとの競合が激化しており、非常に厳しいものになっていた。さらにそこに追い打ちをかけるように東日本大震災が店を襲い、直後に店に入った高橋社長は、自らの給料も支払えないような状況だったと振り返る。


2.先祖から受け継いだおもてなしの心をネット上で再現

とにかく売上を増やすためには何か別の方法で販売をしなければいけないと考え、色々と調べる毎日だった。そんなある日、アメリカでは、子供の成長に合わせて商品を変えたり、コーヒー豆を好みに合わせて送ったりする定期購入が流行っていることを知った。実は、店に入って帳簿を見て一番驚いたことが、お酒の原価率の高さだった。だから単にネット上で販売したのでは、価格競争に陥り、ただでさえ原価率が高いのだから、儲けられるはずがない。しかし、定期購入であれば、利益を出せるのではないかと考えた。

さらに、油忠には、「語り継ぐ心」「徳をなして得を積め」という家訓がある。損をしていると思った時点でダメだという教えであり、良いことをして何かを得なさい、損だと思うぐらいならやるなという考えである。余談であるが、当店は、酒屋の副業として質屋も営んでいる。それは、景気の良い時に酒を買ってくれるお客様の、景気の悪い時期にお金を融通したいという、相手のことを考えたサービスであった。こうしたDNAを代々受け継ぎ、油忠では、接客を重視してきた。子供の頃から、両親や当時いた従業員が、お客様との会話を大切にしながら相手の利益を第一に考えた接客をしているのを見ていた高橋社長は、定期購入サービスに、そのおもてなしの心を加えれば、必ずお客様の心を掴めると考えた。


3.入社前のネットワークを活用しながらゼロからの出発

自らを「不器用」と評する高橋社長は、2年間の充電期間に出会った様々な人とのネットワークをフル活用し、ネットショップの開店を目指すことになった。サイトの構築には、デザイナーの友人を頼ったが、支払うお金が全くない。そこで、アイデアを借りながらクランドファンディングに挑戦し、78万円ほどの開店資金の調達にこぎつけた。出資の見返りとして、お酒の送付サービスをつけたことで、テストユーザーの獲得にもなり、無料の宣伝にもつながった。2011年の年末に大学時代の友人と二人三脚で着手してから、翌年の2012年4月には早くもお店をオープンすることができた。

ターゲットは、20代から30代のあまりお酒を飲まない若者に設定した。日本酒を嗜むのは40代以上の男性が多いため、周囲からは無理だという声も上がった。しかし、学生時代にまずい日本酒を飲む友人の姿をみていたので、美味しい日本酒を知れば必ずファンになってくれるという確信があった。それに若造が先輩方に提案するのははばかられるし、何よりも若者のファンを増やす方が楽しいと考えた。

それでも最初はなかなかお客がつかなかった。アフィリエイト型の有料広告も試してみたが、効果はなく、その時に、口コミでお客を増やすためにも、まずはサービスそのものの質を上げることが大切だと考えた。そのため、お酒についてさらに知識を深めていった。そのうえで、若者に日本酒を知ってもらうため、知人のつてを頼って、試写会などのイベントに呼んでもらって宣伝を行ったり、ブロガーの方にお酒を送って、無料で宣伝してもらったりということを続けた。


4.高付加価値のおもてなしサービスで高い継続率を達成

その結果、現在は、有料会員が1,000名を超えるまでになった。そして何よりも驚くのが、95%にも上る継続率の高さである。その秘訣は、1,000名の会員に対し、80を超える商品パターンを用意していることである。相手の好みや、日本酒経験の長さ、さらには返ってくる反応などをみながら、送るお酒をきめ細かに変えている。これだけのパターンを用意できるのには、先祖が築いてくれた酒蔵との付き合い、そして兄の持つネットワークが役立っている。

さらに、4合瓶で3,000円、1升瓶で5,000円という価格に見合うだけの付加価値をつけるために、酒器や肴を見繕って同封している。お酒は飲み口の形や温度によって味が変わる。だから、色々な形の猪口を送ったり、燗付器を送ったりしている。また、日本酒はその土地の食文化の中で作られてきたものであるから、同じ土地の肴とあわせて飲むのが最も美味しい。調べてみると、同じ高知県でも海産物がとれる沿岸部と、発酵文化の残る山間部とでは、まったくお酒のタイプが違うことがわかった。

サケライフという店名には、「生活に合ったお酒を提案する」というコンセプトに加え、海外でも通用させたいという想いが込められている。再びブームの兆しを見せているとはいえ、人口が減少していく中で、市場の伸びは期待できない。だから近い将来には海外への進出も夢みている。さらに、酒税が在庫にも課せられた時代の名残なのか、日本酒には貯蔵するというイメージがない。しかし実際には、ワインのように熟成するとさらに味わいが深くなる。こうした日本酒の良さを、もっともっとたくさんの人に知って欲しいから、これからも日本酒の新しいイメージの発信に力を入れていきたいと考えている。そして、将来は、自分と同じようなサービスがたくさん世に出てきて、お客様が店舗を選ぶような感覚で、ネット店主を選べたらよいと願っている。

企業概要

運営会社:有限会社油忠
代表者:代表取締役社長 高橋 正典氏
住所:千葉県香取市小見川 354
業種:酒小売業
取扱商品:(ネット)日本酒、(実店舗)酒類全般
主力商品:定期販売(3,000円・5,000円)

代表取締役社長
高橋 正典氏