岡山県青果物販売
~実店舗との差別化により、新たなリピーターを獲得~

岡山県青果物販売
キーワード6次産業化、トレース
差別化6次産業化、トレース
集客口コミ、不定期メルマガ、サーチワード広告
ターゲットこだわりをもつ40代を中心とした層
特徴生産から販売までの垂直統合を実現
実店舗あり(グループ会社)
出店タイプ独自ドメイン、楽天市場、Yahoo!ショッピング

岡山県青果物販売の創業

岡山県青果物販売株式会社は、国内の専業農家や生産者組織が作る青果物を厳選し、ギフト販売から、その果実を使用した加工品の開発・製造販売までを手掛けている。

同社の社長である大西直規氏は、元々、当時の岡山県経済連(岡山県経済農業協同組合連合会)で、岡山県産青果物の生産販売、とりわけ市場取引や与信管理、産地における商品開発を担当していた。多くの生産者や流通業者等と接する中で、農業従事者の高齢化が進む実態から、匠の農家が伝承する本物の栽培技術と栽培環境を守ることの必要性と、トレースのはっきりした素材、加工原料、商品の希少的価値を痛感する。そして平成13年2月末、岡山県経済連とJA全農が統合するのを機に同会を退会し、青果物の生産から販売までを一貫しておこなう「農産物ビジネスの垂直統合(現在の6次産業化)」を目指して、岡山県青果物販売株式会社を創業した。


素材の栽培から販売まで一貫体制を構築

岡山県青果物販売は、4つのグループ会社で構成されている。1つめはグループの中核を成し、素材の製造から卸、販売までを担う岡山県青果物販売株式会社、2つめは直営店の運営や国産青果物を使った加工商品・ジェラートの製造販売などを担う株式会社フルーツ・ジャパン、3つめは果物を主とした青果物を一次加工し、加工原料として長期保管するのを担う岡山県農産食品加工株式会社、4つめは農業生産法人として青果物の生産・出荷を担う株式会社フルベジファクトリーである。これら4社が連係して事業を行うことで、素材の栽培から加工、商品の製造、販売に至るまで、自社のグループ会社で完結することができる。栽培は、契約する専業農家から仕入れる分と自社で生産する分があるが、前者は全量買い取りを実施している。自社ですべてを担っているからこそ、全量買い取りをしても、ほとんどロスを出すことはない。例えば、形が良いものは、一次産品としてそのままギフト商品となり、形が悪いものは中間素材や加工品にして保存する。保存しておくことで、果物の豊作や凶作にも対応することができる。グループでの一貫体制が、無駄のない効率的な生産体制を可能にしている。

このビジネスモデルの実現は、一朝一夕で出来たものではない。創業時から、6次産業化を見据えていたものの、当初は卸売りが主であった。原料確保に必要な資金を借りるため、銀行にも粘り強く通った。初めは相手にしてくれなかった銀行も、大西氏の熱意と説得により、資金を融通してくれた。元々、出口戦略を見据えた事業計画を立てており、また、大西氏の目利きへの圧倒的な信頼感から、前職で付き合いのあった大手百貨店やスーパーが創業時から主要取引先になっていた。平成18年には、製造投資と店舗投資をほぼ同じタイミングでおこない、製造と小売に進出した。


同社にとってのECのメリット

ECに取り組むきっかけは、平成21年頃、ホームページ制作会社からの売り込みだった。その頃の同社は、百貨店等への卸に加え、一般消費者向けにDMでの受注販売を始めており、ひと月に数万件にもなる受注を捌くために、伝票管理システムの構築に力を入れていた時期でもあった。大西社長がECに期待したのは、お客様の生の声(レビュー)を収集し、後に残せる点。商品に対する客の正直な感想は、商品やサービスの改善につながり、また、これから買おうとしている人への後押しとなる。さらに、同社と取引を検討する企業にも、このレビューを見てもらって、取引先として妥当かどうかを判断してもらえるという利点があった。

さらに、ECは、デッドストックを減らすことにもつながった。同社が扱う青果物は、生鮮食品であり、本来であれば百貨店に卸すような糖度の高い商品でも、ちょっと傷がつくとB級品になってしまう。また、お中元やお歳暮などのギフトシーズンの後、百貨店等から戻ってきた商品が大量に発生する。そういったものを、それぞれB級品、ギフト解体品として、ECを使って数量限定で割安で販売するのだ。日によって、どれぐらいの個数が出るか分からないし、自家需要を目的としているため、包装もできない。それでも品質は折り紙付きなので、今やこれを目当てに、同社のECにアクセスしてくる人もいる。百貨店等、実店舗ではなかなかできない売り方も、ECなら可能となる。これにより、新たなリピーターを掴むきっかけになっている。


サイト作りこみの工夫

同社のEC事業は、IT管理部の藤井光氏が一手に引き受けている。藤井氏は、インターネット通販のシステム構築を行う会社に勤めていた経歴を持ち、ECには元々詳しかった。

現在、自社サイトの他に、大手ショッピングモール2社に出店しているが、自社サイトでは、商品ブランドごとに専用のトップページを設け、実際に購入する段になると、自社のECサイトに集約される仕組みを取っている。これは、会社名よりも、まず商品を知ってもらうことを一番に考えているからである。テレビコマーシャルを流す際も同様で、コマーシャル中、あえて会社名は出さず、商品だけをクローズアップして、商品名の刷り込みに力を入れている。

同社の青果物は、ギフトとして利用する客も多いため、サイトで商品を探す際には商品や用途のカテゴリだけでなく、予算からも検索できるようにしている。また、商品の魅力をサイト内で効果的に伝えるため、写真を多用し、生産者である農家の紹介ページを掲載するなどの工夫をしている。さらに、ギフト需要に対応するため、専用の箱や容器展開、ラッピングや熨斗などの梱包展開にも力を入れている。どうすれば使いやすいサイトになるかを考え、新たにスマートフォンに対応したり、決済方法の選択肢を増やしたりと、お客様の声を参考にしながら、日々改善を図っている。

リスクの認識とこれからの歩み

これまでECに取り組んできて、大きなトラブルに見舞われたことはないが、一方で、インターネットならではのリスクがあることも認識している。例えば、商品がメディアで取り上げられると、爆発的な反応を受け、受注が一気に膨らむことがある。自社で加工しているものはまだ良いが、生鮮食品だったり、他から仕入れている商品の場合、仕入れ価格と販売価格が逆転する現象も出てくる。そういったリスクがあるということを念頭に置いた上で、ECに取り組まないといけないと考えている。

創業してから今年で15年。この間、各所から、その事業内容や取り組みが評価され、表彰されてきた。

企業概要

運営会社:岡山県青果物販売株式会社
代表者:代表取締役 大西 直規氏
住所:岡山県岡山市北区岡南町2-3-1
業種:農業生産・製造・卸・小売業
取扱商品:青果物、加工原料、フルーツジュース、菓子
主力商品:青果ギフト(桃、ぶどう等)
おかやま桃子、くらしき桃子

岡山県青果物販売㈱
大西社長(右)とEC担当の藤井氏(左)