コロクリ
~衣類保管+クリーニングで実店舗とは異なる顧客を取り込む~

コロクリ
キーワードサービス付加
差別化保管、閑散期の活用
集客SNS、ブログ、ターゲティング広告
ターゲット都心在住30~40代のビジネスマン・ウーマン
特徴衣類保管クリーニング(衣替え時)
実店舗あり(九州管内48店舗)
出店タイプ独自ドメイン

大学卒業後すぐにクリーンせいやに入社

有限会社クリーンせいやの渡邊克紀社長は、大学卒業後すぐに、実の父親が経営する同社に入社した。昭和40年に福岡県行橋市内で創業した同社は、当時から地域に根付いたクリーニング店として認知されており、一部フランチャイズで九州に70店舗ほど多店舗展開していた。午前中はクリーニング技術を覚え、午後は外商に出かける毎日。覚えることがいっぱいだった。

自社の経営についてほとんどノータッチだったが、急きょ、父親が倒れたことで、状況が一変する。父親が入院してからは、少しずつ経営にも携わるようになった。父親の回復を期待していたが、願い虚しくそのまま逝去し、教えを受ける間もなく、同社の経営を引き継ぐことになった。当時、克紀社長は23歳。技術や経営の知識もまだまだであったが、それでも従業員やお客さんのことを考えると、会社を潰すわけにはいかない。覚悟を決めた。


次々と会社を去っていく従業員たち

事業承継したものの、会社を経営するということは、そんなに甘いものではなかった。父親が亡くなったことで、それまで同社で働いていた従業員は一気に会社を去って行った。特に技術のベテランスタッフは、よそからの引き抜きもあり、ほとんどがいなくなった。会社にとって、社員は礎。その社員がいなくなるということは、非常に大きな事態である。そんな会社に残ってくれたのは、その年に入社した新人や近所に住んでいるパートスタッフであった。

なんとか事業を維持したものの、ベテランスタッフは大量に辞めてしまい、経営も素人同然。わずか1年半で手元の現金はなくなった。パートら残った人たちからは、どうか辞めないでくれと言われるが、借入金も底をつき、ついにここまでかと思っていた矢先、メインバンクから国の融資制度(長期経営安定資金)の情報をもらう。藁をも掴む思いで融資を申請し、そのおかげで3,000万円を借りることができた。それを転機に、事業がうまく回り始める。


転機となったできごと

会社をどうしていきたいか。克紀社長は、クリーニングで日本一になることに目標に据えた。日本一になるためには差別化が必要である。そのため、地域で一番安く、とにかく数をこなしていくことにした。しかし、実際にやってみたら、うまくいかない。スタッフは疲弊し、数をこなさないといけないので、納期もいい加減になり、お客さんからは褒められない。

そんな時に、福岡の食品スーパーで「日本一視察が多い」と言われるとある企業の社長と知り合う。その社長に、克紀社長は「日本一のクリーニング店にしたい」と話したら、「何の日本一になりたいのか」と逆質問された。「売り上げの日本一になりたい」と答えると、「では店舗を増やしたら良いのでは」と言われる。「店舗を増やしたら、従業員の負担が増える」と返したら、「従業員の顔色を窺うのか。それでは本当に日本一の売上を目指してはいないのではないか」と言われる。「当スーパーは、日本一働きたいスーパーになりたいと考えている。クリーンせいやは日本一働きたいクリーニング店を目指してみないか」と言われ、それが同社の大きな転機となる。

転機と言えば、もう一つ。2006年ごろ、克紀社長が37歳の頃、あるテレビ番組を見ていた。成功している会社を取り上げ、その社長にインタビューをするものであったが、ある時、インタビューを受けている社長の後ろで働いている従業員の疲れ切った顔をみて、これはいけないと感じた。

会社は従業員でもっている。従業員の満足度は大事にしないといけない。そう実感した克紀社長は、すぐにスタッフを集めて、クリーニング料金を定価に戻すと宣言した。安売りを止めて、代わりに付加価値をつける。ディスカウントの波を変えると。


新しいニーズを取り込む

実際に、安売りを止めて、離れていくお客さんもいた。しかし古くからのお客さんは定価に戻しても付いてきてくれた。価格を上げてお客さんが離れていくスピードよりも、技術を高めるスピードを速くするために、従業員の技術や接客の勉強にも力を入れた。

その勉強のために東京に行く機会が増え、そんな中、東京で、ネットを使った保管サービスをやっているクリーニング店の存在を知り、これを当社でも取り入れてみようということになった。福岡では、1軒の家が広いため、衣服等の保管に困ることはないが、東京では保管サービスが商売になる。東京のお客さんに宅配便で洗濯物を送ってもらって、洗濯して、保管して、衣替えの際に返してあげるというサービスは、もしやニーズがあるのではないか。

しかし、東京のお客さんを取り込むためには、どうしても地理的な遠さがネックとなる。どうすれば良いか。その答えがe-コマースの活用だった。


実店舗とはまったく違う目的・ターゲット

e-コマースに取り組むと決めてから、2005年、中小機構の専門家派遣制度の存在を知り、その制度を利用し、社内で勉強会を重ねた。どんなサイトにするのか。サイトは、独自性を出すために、田舎臭さを前面に出したサイトデザインとし、客とはすべてメールでのやりとりとなるため、その分、接客コミュニケーションが得意な人を担当者に据えて、客先からの問い合わせ対応に力を入れることにした。そして2006年、満を持して同社のECサイト「コロクリ」をオープンする。

「コロクリ」のターゲットは、東京など都心に住むビジネスマンやビジネスウーマン。デリバリーは大手宅配便業者を採用し、洗濯・保管をパッケージ(20着で1セット)で扱う。ネットで注文が入ったら、コロクリ専用バッグを客先に送り、洗濯物を入れ、開かないようにバッグの口を閉めて送り返してもらう。それをクリーンせいやでクリーニングし、工場内の専用の倉庫で保管して、衣替えの時期に送り返すという流れ。実店舗とはまったく違う目的・流れ・ターゲットとなっており、洗濯後、すぐに送り返さなくて良い分、店の閑散期を使ってクリーニングができるメリットもある。

オープンしたものの、サイトの認知をされることが難しい。まずは会社と「コロクリ」のサービスを知ってもらうことからだと考え、社長自ら、色々なブログに書き込んだ。また、「クリーニング/宅配」「クリーニング/保管」のキーワードでインターネット広告を出したり、インターネットオークションに1円から出品したりもした。そうした努力が実を結び、じわじわと認知されるようになり、現在は年間200件程度の受注を得ている。


夢の実現に向けて、前に進む

「コロクリ」をオープンしてから、早10年。これまでクレームはほぼない。克紀社長は、コロクリに挑むことは、働き甲斐・やりがいにつながると話す。目的・理念があって、その強い想いを実現させるためにインターネットがある。従業員の名札の裏には経営方針を印字し、講習会や研修等で日々語りかける。毎月の給料袋の中に感謝の手紙を入れたり、パートスタッフを含め、従業員とはなるべく直接話す機会を設けている。クリーンせいやを日本で一番働きたいクリーニング会社にするという夢に向かい、試行錯誤を繰り返しながら、真摯に物事に向き合い前に進む克紀社長の姿がそこにあった。

企業概要

運営会社:有限会社クリーンせいや
代表者:代表取締役 渡邊 克紀氏
住所:福岡県行橋市大字福原222-1
業種:専門サービス業
取扱商品:クリーニング、衣類保管
かけつぎ・かけはぎ
主力商品:クリーニング、衣類保管

代表取締役
渡邊 克紀氏